【野球】なぜ侍ジャパン・井端監督は森下を不動の4番として起用し続けたのか? 辞退者続出で苦肉の策も大会前から不変だった評価
野球日本代表は、11月開催の「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」で大会2連覇を逃した。その中で主砲として奮闘し続けたのが、阪神・森下翔太外野手(24)だ。侍ジャパン・井端弘和監督(49)が、若虎を全9試合で4番に据えた背景や理由に迫った。
MVP級の大活躍だった。決勝で台湾に敗れるショッキングな幕切れの中、阪神・森下は堂々たる成績を残した。侍ジャパン唯一の全9試合にスタメン出場し、いずれも4番に座った。打率・357をマークし、チームトップの9打点と無類の勝負強さを誇った。
躍動を続ける若虎について、井端監督は「本当に頼りになる。僕の中では(森下)4番というのはある程度、思っていました」と明かした。ただ、当初の構想で描いていた本命の4番は、森下ではなかった。侍常連のヤクルト・村上は故障のため日本代表メンバーに招集できず。大会前に「4番の可能性が高いと思います」と期待してきた巨人・岡本和も、10月末の宮崎合宿直前に故障による出場辞退が決まった。
打線の核となる大砲が不在の緊急事態…。オーダーの組み方に、指揮官も苦悩の色を隠せなかった。宮崎合宿中には森下の打順について「1番、4番もある」と構想の一端を明かしたが、リードオフマンは大会直前の日本シリーズでMVPに輝き、勢いのあるDeNA・桑原を起用した。1番構想もあった万能型の楽天・辰己を3番に入れ、つなぎの打撃もできる森下を4番に据えた。今回のメンバーの中では実績でいえばDeNA・牧が4番の有力候補だったが、下位の6番に置いて打線に厚みを持たせた。
つないで得点を奪うことを選ぶ苦肉の策ではあったが、井端監督の森下への評価は「プレミア12」前から不変だった。「フルスイングできる。魅力だなと思ってます。初球から振れる。見ていって合わせるじゃなくて、振って合わせるタイプだと思う。国際試合では非常に大事。2度と対戦しない可能性のあるピッチャーもいて、次に生かそうといっても変わる」。思い切りの良さが国際大会向きだと認めた。大会直前には「(打順は)いいところで打たせます」と予告し、その答えが4番だった。
将来も見据えた4番起用だと感じた。2026年WBCでも指揮を執ることが決まっている井端監督。WBCに向けての期待については「森下だけじゃなく呼んだ選手、日本の選手には常にそこは意識してくれるとこっちはありがたい」と語っていた。今回の「プレミア12」は将来、日本の主力になる可能性を秘めた若い侍たちの能力を見極める場でもあった。森下にも貴重な経験を積ませる“英才教育”の意味合いもあったことだろう。
世界の舞台でも、まばゆいばかりの輝きを放った森下。今後のさらなる飛躍が楽しみだ。(デイリースポーツ・伊藤玄門)





