【野球】レイエスの復調導いた日本ハム・新庄監督のけい眼 “決めるべき選手”として戻って来た大砲
「言ってたでしょ?キーポイントはレイエスになるって」
日本ハムの新庄剛志監督(52)はサヨナラ勝ちした16日の楽天戦後に得意げに話した。その試合でレイエスを4番に起用。七回には左翼ポール直撃の逆転3ランを放っていた。
6月15日の昇格以降、6本塁打。メジャー通算108発男はその実力を発揮し始めている。その裏には新庄監督の決断があった。レイエスは開幕戦で1号本塁打を放ったが、その後低迷した。26試合に出場し、77打席で打率・211、2本塁打、3打点という期待を裏切る成績。5月13日に登録抹消した。
「そりゃ、怒りますよね。帰るって言ってましたよ」と当時を振り返る。「普通の監督だったらできないって。100打席立たせていないのに2軍にやれない」と理解は示しつつ「いったん2軍に落として日本の感覚、ピッチャーの癖というか、それをリラックスしながら試合に出てつかんでもらう」と決断した理由を明かした。
レイエスにとっては不本意な降格だったが、2軍では真摯(しんし)に野球に取り組んだ。「佐藤(2軍打撃)コーチと一緒にタイミングの取り方を一から改善した。打球角度も良くすることにも取り組んだ」。若いチームメートとの焼肉パーティー「レイエス会」も度々開催。溶け込む姿勢も見せた。
2軍では17試合に出場。58打席に立ち、打率・340、4本塁打、9打点。十分な成績を残した。新庄監督は1軍に戻す決断を下した。「いいタイミングで上げようと思っていた。結果ではなく、打つタイミングの速さとかポイントとかを見てね」。2軍の試合を映像で確認し続けた上で、結果でなく内容を見てGOサインを出した。
2軍降格後も新庄監督はレイエスと連絡を取りフォローを続けた。時には記事には書けないような下ネタで和ませたという。「本当、本当、本当。アメリカに行って学んだしね。ラテン系のコミュニケーションは下ネタだから」と笑う。
「落としてなかったら今も変わらなかったですよ。闘争心というかね、ハングリーな気持ちにさせたのは…まあ、めっちゃ怒ってたのは知ってましたけどね。でも彼は一回下に落として、つかませて、戻せばやってくれると思ってたから」
前半戦を終えて3位。後半戦に向けて「エラーをしない、全力疾走をする、しっかりバントを決める。決めるべき選手が決めるっていうところで乗っていけるチームになれば、間違いなく上にいけます」と断言する。登録抹消時に「レイエスがキーポイントになってくる」と話していた。“決めるべき選手”として戻って来た大砲を軸に、Aクラスという目標を果たす。(デイリースポーツ・鈴木創太)
◇フランミル・レイエス(Franmil Reyes)1995年7月7日生まれ、29歳。ドミニカ共和国出身。196センチ、120キロ。右投げ右打ち。外野手。リセオ・アリーロ・パウリーノ高からパドレスと契約してプロ入り。18年にメジャーデビュー。ガーディアンズ時代の21年に30本塁打を記録するなど、メジャー通算108本塁打。今季から日本ハム。51試合に出場し打率・233、8本塁打、19打点。