【野球】阪神・岡田監督が見せた「雨の戦い方」とは?初回から攻め手の連続「無理やり木浪にバントさした」対照的に動かなかった中日 明暗分かれる

 「阪神3(降雨コールド)0中日」(21日、甲子園球場)

 阪神・岡田監督の采配が普段とは違った。明らかに雨を意識しての采配ぶりだった。初回、無死一塁から中野に送りバントを指示した。五回無死一塁の場面でも木浪に送りバントを命じた。

 ここまでの戦いぶりを見ると異質のタクト。特に五回の場面は先頭の梅野が四球で出塁した。続く木浪は初球からバントの構えをしていた。才木はネクストに向かわずベンチで待機。とにかく岡田監督が是が非でも1点を欲したシーンだ。

 通常、無死一塁で8番・木浪を迎えたケースで送りバントを命じるケースは非常に少ない。理想型としては木浪がつないで無死一、二塁とした上で投手にバントを指示する。仮に木浪が倒れたとしても、投手が送って2死二塁で近本を迎える形をとってきた。

 だがこの日は木浪に初球からバントを命じた。その理由を「もう5回までね。とにかく1点でもと思って。だからもうね、無理やり木浪にもバントさしたんですけどね」と明かした岡田監督。木浪の打席中、才木はネクストサークルに立たずベンチでヘルメットを脱いでいた。安藤投手コーチが寄り添いつつ、2ストライクと追い込まれた時点で再びヘルメットをかぶった才木。状況から見ても、木浪が送りバントを決めれば代打という選択肢は十分に考えられた。

 午前中から雨が降り注ぎ、試合開始は定刻より53分遅延した。プレーボール後も雨は降り続き、阪神園芸のスタッフが何度も新たな土を入れながらゲームが続行できる状況を保っていた。いつノーゲーム、コールドゲームが宣告されてもおかしくない状態。だからこそ岡田監督は「1点でもね、先、先、先と思ってね」と、とにかく得点圏に走者を進めることを優先した。

 結果的に木浪がバントに失敗し、得点には結びつかなかった。ただ指揮官の意図は選手に伝わっていた。「何とか塁に出ようと思って」と中野が六回1死から左前打でチャンスメーク。森下が左前打でつないだ。2死後、佐藤輝がフルカウントから懸命に粘って甘い変化球を一振りで仕留めた。

 決勝3ランに岡田監督も「あそこ3ランっていうね、3点が大きかったですね」と言う。その理由は「本当ね、1点じゃどうなってたかもわからないし。砂を入れるということだったんですけどね、本当スリーランていうのはね、やっぱり大きかったと思いますね」。仮に1点差であれば審判団は続行と判断したかもしれない。だが3点差で七回表を終え、中日の攻撃は残り2イニング。“決断しやすい状況”を作る上でも、3点差が大きかったと指揮官は言う。

 一方、中日は六回表の攻撃で投手の松葉をそのまま打席に送った。結果、三振となって先頭の1アウト目を才木に与えた。もし岡田監督が中日の指揮をとっていれば、どうしていたか-。序盤の采配を見る限り、代打を出していても不思議ではない根拠がある。

 デイリースポーツ評論家時代、「雨の戦い方」を聞いたことがあった。その際「先発ピッチャーが先に点を与えないことはもちろんよ。そしてある程度、中止になることを想定してリリーフをつぎ込むようにすべきやな。投手起用で先手、先手を打って打線の援護を待つようにしなあかん。あとは監督時代にもやっていたけど、ベンチでしっかりと雨雲の様子を把握することよ。中断に入るくらいの雨なのか、それとも試合を続行できる雨なのか、ゲーム展開を読みつつ天気の状況も読んでベンチは采配を考えていくことやろな」と教えてもらい、「雨を味方につけるような野球をやらんとあかんよ」と語っていた。

 奇しくも六回表、中日の攻撃は3人で終わり、続投した松葉は佐藤輝に決勝3ランを浴びた。前日に15失点し、リリーフ陣を少しでも休ませたい考えも立浪監督にはあったのかもしれない。

 結果的に動と静で明暗が分かれてしまったゲーム。阪神は6連勝で首位に立ち、中日は首位から陥落。ベンチの姿勢が勝敗を分けた要因の一つなのかもしれない。(デイリースポーツ・重松健三)

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