【野球】開幕左翼狙う阪神・前川右京が新たなスローイングに取り組む理由 「もう一回、肩やるぞ」と鳥谷臨時コーチも指摘

 阪神・前川右京外野手(20)が新たなスローイングに取り組んでいる。筒井外野守備走塁コーチから肩肘の負担を軽減するための送球動作を教わり、早速オープン戦で実践。“ノーモア離脱”を肝に銘じ、ノイジーとの左翼争いを勝ち抜く。

 普段はあまり見られない珍しい動きだった。今月2日の日本ハムとのオープン戦(札幌ド)。左飛を捕球した前川は体を時計回りにくるりと1回転させてから、カットマンにボールを返した。

 一連の動作について筒井外野守備走塁コーチは「プロのスキルの一つ。全部の打球に対してではない」と強調した上で、「流れの中で投げる方が肩肘に負担がかからない。打球を回り込んで捕るより、攻めて投げられる利点がある」と説明する。一番の目的は故障防止だ。前川はキャンプでも鳥谷臨時コーチから「もう一回、肩やるぞ」と指摘され、リリースの瞬間だけ力を入れるスローイングを教わっている。

 1年目から打力を評価されながら、度重なるケガに泣いてきた。昨年もキャンプ直前に左肩を負傷して離脱。シーズンでは3番で出場するなど奮闘したが、8月に体調不良で離脱すると最後まで1軍復帰できなかった。

 今春キャンプ序盤は岡田監督の「順に投げる」、「左投げは右翼」という考えの下、右翼を守った。実戦でも同ポジションでの出場が続いたが、バットでアピールし、2月18日の練習試合・広島戦(コザ)で初めて左翼でスタメン出場。ノイジーが右肘痛で出遅れる中、一気に左翼のレギュラー候補に躍り出た。

 「熱出たり、ケガしたり、あんなんばっかりやんか」。昨年から体調管理の大切さを説き、自覚を促してきた岡田監督の見方も変わってきた。かねて「ケガさえなければ1軍の戦力」と認めており、「ケガなく1カ月完走した。飛距離も伸びたし、下半身がドシッとしていいものを見せてくれた。前川が一番、期待値が上がった」とキャンプ野手MVPに選出した。

 オープン戦ではミスが出たが、高校時代の本職は左翼。筒井コーチの評価は「捕球はそこそこのレベル。ハンドリングは柔らかい」。伸びしろもあるという。強肩、堅守を誇るノイジーが復帰した今、左翼争いはほぼ一騎打ち。前川は打撃の調子も取り戻しており、最も避けたいのは故障による離脱だ。このまま1年間コンディションを維持できれば、レギュラー奪取の現実味も増してくる。(デイリースポーツ・杉原史恭)

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