【野球】“兄貴”中田翔のマネジャーとして奮闘 昨年日本ハム戦力外の姫野さん「『翔くん』から『中田さん』に」

 練習を終えた中田(右)と引き揚げるマネジャーの姫野優也氏(撮影・開出牧)
 昨年の12球団合同トライアウトで投げる元日本ハム・姫野さん
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 昨年に日本ハムを戦力外となった姫野優也さん(26)は、現役時代から慕い、今年から中日に新加入した中田翔内野手(34)の専属マネジャーとして奮闘している。外野手としてプロ入りし、21年には投手へ転向した特殊な経歴の持ち主。“2度目の転向”に強い決意で挑んでいる。

 スタンドから“兄貴”の姿を見つめる。姫野さんは充実の日々を笑顔で明かした。

 「初めてスタンドから見るキャンプはめちゃくちゃ新鮮です。中にいるのと全然違いますね」

 現役時代の2020年から志願して中田の自主トレへ参加。1、2軍で離れていても、中田は8歳下の後輩を気にかけてくれた。「定期的に『ヒメ、メシ行くか』とか『ゴルフ行くか』とか誘っていただいてました」。“運命”の一言をかけられたのは、ある年の自主トレでのこと。「ふとした時に『おまえが野球終わった後はオレが一生面倒みたるから』と言ってくれて…」。熱い言葉が、ずっと頭の中に残っていた。

 昨オフに日本ハムを戦力外となり、トライアウトを受けるも声はかからず。中田に報告すると、変わらず後輩思いの言葉が返ってきた。「『おまえの人生やから強制はせえへんし、好きなようにしたらいい』って言ってくれました」。ただ、姫野さんの思いは一つだった。「『一生ついていきたいです』と伝えました」。憧れの人を支える日々が始まった。

 自宅からの送り迎えなど運転手としてスタートし、スケジュール管理なども任されるように。もちろん、野球以外の仕事は初めてだ。「人と話すのは好きなんですけど、仕事ってなると言葉も選ばないといけないですし、難しいです。失礼がないように」。オフ期間には名古屋の地元放送局とも不慣れながらやりとり。「ケータイで連絡取る機会も増えましたし、今まで体動かすことしかしてなかったので、うわーオレ、仕事してるなって思いました」と笑う。

 中田との関係性も少し変化した。現役時代は「翔くん」と呼ぶほどの間柄だったが、「今は『中田さん』って呼ぶようになりました。僕はもう選手じゃないですし、まだまだですけど、サポートする側の人間なので」。親しさはそのままに、ビジネスパートナーとして深い関係を築いていく。

 「やりがいは、めちゃくちゃあります。なんなんですかね、この感覚…!今まで野球を極めようと頑張ってきたのと一緒で、せっかくこういうお仕事につけたんだったら、プロフェッショナルを目指して。中田さんに『ヒメをそばに置いて良かったな』と思ってもらえるようにやりたい」

 中田の活躍が何よりの活力だ。「やってる側だったので試合を見るのは苦手なんですけど(笑)。中田さんの試合なら早く見たいですね」と声を弾ませる姫野さん。「去年は悔しい思いもあったと思いますし、ドラゴンズで輝いている姿を近くで見たいです。そのために僕にできることがあるなら何でもします。中田さんならやってくれるはずなので、僕は信じてついて行くだけです」。追い続けてきた憧れの背中。これからはそっと寄り添い、ともに戦っていく。(デイリースポーツ・間宮 涼)

 ◆姫野 優也(ひめの・ゆうや) 1997年4月2日生まれ、26歳。大阪府出身。大阪偕星学園から2015年度ドラフト8位で、右投げ右打ちの外野手として日本ハム入団。16年シーズン中に両打ち登録に変更。18年に1軍で2試合に出場した。20年オフに育成契約となり、21年シーズン中に投に転向。同年9月7日のイースタン・巨人戦で公式戦初登板し最速154キロを計測した。支配下復帰には至らず、23年10月に戦力外通告を受け現役を引退。

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