【野球】阪神 ドミニカ共和国で行ったトライアウトで20代半ばの右投手2人を獲得した理由とは

 阪神・岡田監督
 トライアウトを継続する意向を示した嶌村球団本部長
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 阪神が1月にドミニカ共和国で行ったトライアウト(入団テスト)で、右投手2人を育成枠で獲得する方針を固めた。正式契約前のため選手の詳細は明かされていないが、嶌村聡球団本部長(56)によると2人は「24、25歳の選手」という。この年齢層に狙いを定めた理由とは-。

 ドミニカの“金の卵”は20代半ばの選手だという。嶌村本部長は「一つの視点」と前置きした上で「24、25歳ということは、国内のドラフト会議で日本人選手を獲得した時に大卒→社会人の選手がその年齢にあたる。ドラフトで引っかかる(レベルの)選手なのか」ということを判断基準の一つにしたと明かした。

 また、一度は米大リーグの下部組織となるルーキーリーグや1A、2Aでプレーしながら才能を開花できず、こぼれ落ちた選手が20代半ばくらいの年齢になるといい、「そういった選手をもう一度すくい上げる意味もある」と意義を強調した。

 岡田監督が助っ人外国人について「昔みたいに実績あるのとか、そんなんもういないよ」と話すように、近年は米国で実績を積んだ選手が来日する事例は希少となっている。日本選手同様に、外国人選手も自前での育成を目指すことは、将来的なチーム強化において合理的な方策でもある。

 幸い現在の阪神は外国人選手に依存する必要のないチーム状況となっている。即戦力にこだわらず、中長期的な視点を持ち合わせながら、外国人選手を育てていく時間の余裕があるといえる。

 より若い“原石”を発掘し、年月をかけて育てていく方法もある。4軍制を敷くソフトバンクはドミニカ出身で16歳のアルモンテを獲得したが、2軍制の阪神にはそぐわない。加えて10代の選手は技術面だけでなく精神面でも未成熟な部分も多い。嶌村本部長が「(10代は)人間的にも成長していかなければいけない時期」と語るように、異国への適応で想像以上の困難に直面する可能性もある。心身ともに成熟しつつある20代半ばであれば、そういった不安も解消されているだろう。

 投手陣の年齢構成を見ても理にかなっている。阪神の投手陣は20代前半の層がやや薄く、23年度ドラフトでも投手5人(育成を含む)を獲得した。今年25歳を迎える世代は桐敷、湯浅、岡留、鈴木、伊藤稜、松原と多いが、24歳を迎えるのは育成の川原のみ。1軍で実績を積みつつある桐敷、湯浅に続く投手として、同世代となるドミニカンの台頭も期待される。

 トライアウトは今年以降も継続される方向だ。嶌村本部長は「続けていくことが大事」と語る。球団初の試みはまだ、種がまかれたばかり。数年後に花開く日を心待ちにしたい。(デイリースポーツ・山本直弘)

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