【野球】1軍抜てきの阪神・若手捕手 明暗分かれた2人 常勝軍団へカギ握る次世代の捕手育成
阪神1軍キャンプに抜てきされた若手捕手2人の明暗が分かれた。岡田監督が高卒出身レギュラー捕手の育成を目指す中、藤田健斗捕手(22)は1、2軍合同紅白戦で2試合連続安打。一方、中川勇斗捕手(20)は右下肢の故障で離脱。1軍初出場を狙う両者の現在地に迫った。
岡田監督には「キャッチャーは高校生よ」という持論がある。「野村(克也)さん、森(祇晶)さんに始まって、プロ野球の(名)捕手ってみんな高校生やんか」。ヤクルト・古田敦也など例外を認めながらも、「癖のない高校の若い時からプロの球を受けとかなあかん」と力説する。
昨春キャンプでは、途中から藤田、中川を宜野座に呼び、今年は1軍メンバーに抜てき。22年からファームで指導する野村2軍バッテリーコーチは「藤田は守り、中川は攻撃型」と2人の特長を表現していた。
「藤田は技術面で成長している。1軍の雰囲気に慣れて勝ち負けのところを経験していけばもっと良くなる。中川に関しては打つ方は2軍でも結果を残している。キャッチャーとしても、もうちょっと鍛えがいがある」
キャンプ序盤、藤田はアピールポイントを「スローイング。しっかり捕ってから投げることを意識しています」と意気込み、一方の中川は「やっぱりバッティングです」と目を輝かせていた。
だが“現在地”は明暗分かれる形となってしまった。第2クール最終日の8日、中川が昨年12月の台湾ウインターリーグで痛めた右下肢を再び負傷。2軍行きとなった。岡田監督から小力を評価されており、フリー打撃でも柵越えは珍しくなかっただけに残念だった。
一方、藤田はスローイングをアピール。シートノックでは二塁への矢のような送球にスタンドがどよめくことも。11、12日の1、2軍合同紅白戦では2試合連続安打と打の成長をアピールした。
チーム内には高い壁が立ちはだかる。32歳・梅野と30歳・坂本の存在だ。岡田監督は既に今季の捕手起用について「レギュラーキャッチャーが2人いてるので、投手の兼ね合いとか、2人で143試合。そういう形になると思う」と方針を示している。
ただ、今キャンプでは中川だけでなく、長坂も右肘痛を抱え、第3クール初日の10日には梅野が風邪を発症。12日に復帰したものの、11日の紅白戦は坂本、藤田、栄枝、片山の4人で臨む形となった。一時的とはいえ、不測の事態はシーズン中にも起こりかねない。
梅野は複数年契約を結んでいるが、坂本は今季中にも国内FA権を取得する見込みで、常勝軍団を築くためには次世代の捕手育成が重大ミッションであることに変わりはない。近年は長坂、栄枝が務めてきた「第3捕手」争いは混沌(こんとん)としている。(デイリースポーツ阪神担当・杉原史恭)





