【野球】中日・根尾昂 6年目を迎えた“甲子園のスター”の現在地「他の選手以上に注目してもらっている」 昨季はスルリと逃げたプロ初勝利からの飛躍を目指して

 誰もが受け取れるわけではないエール。中日1軍キャンプで行われた10日のケース打撃。根尾昂投手(23)がマウンドに上がると、登板した5人の投手陣でただ一人、スタンドから拍手が送られた。大阪桐蔭時代に春夏連覇を成し遂げた「甲子園のスター」の現在地とは-。今季へ臨む心境や、投手転向後は初となる1軍春季キャンプでの取り組みを聞いた。

 今キャンプで変化を加えた点は投げ込みの量だ。当初は「投げずにいこうかなという考えもあった」というが、ブルペン入りの間隔をあまり空けずに、原則1日おきに入るよう変更した。先発として勝負する上で、スタミナ面を強化し「1球でも無駄な球をなくして、精度を高められるように」と意図を説明。「その分、反動は来ますけど、その負荷に耐えられる体をこのキャンプ期間が終わるまでに作り切れるように」と取り組んでいる。

 「今は結構キツい時期かなって感じです。早く回復してくれるように、いっぱい寝てます!」とちゃめっ気たっぷりに回答した根尾。「ちょっとずつ反復練習で良い投げ込みができている」と直球への手応えも感じつつある。早ければ第4クールから実戦へと入る見込みで、「あとはしっかり試合で出せるように」と力を込める。

 大きな存在となっているのが、球団OBであり大阪桐蔭の大先輩である今中慎二臨時投手コーチ(52)だ。「先発ピッチャーとして、もうちょっとこうした方が良いんじゃないかなという話をさせてもらいながら。勉強させてもらっています」。11日には、今中コーチが現役時代に決め球としていたカーブを直訴して教わり、約30分間のマンツーマン指導を受けた。

 「ピッチャー陣の層は厚いですし、割り込んでいく気持ちと準備をしてきているので、あとはやるだけ」。目下の目標は、プロ初勝利。昨年はあと一歩のところで逃した。

 投手一本で臨んだ昨季、初登板だった9月18日の広島戦で6回2/3を4安打4失点(自責0)。四回1死まで無安打投球を演じていたが、6点リードの七回に暗転した。1死一塁から堂林の遊ゴロで、併殺を狙った遊撃・カリステの送球を二塁・福永が落球。安打と内野ゴロで1点を返され、四球で2死満塁にしたところで降板した。後を受けた4人の救援陣もあと1死を奪えず、失策も絡み同点に。まさかの“悲劇”で、その手につかみかけていたプロ初勝利はスルリとこぼれ落ちた。

 「もちろん勝ちたかったですけど…」と振り返ったが、「取り返せないので」ときっぱり。「早く上のローテーションに食い込んで、1試合目、絶対に勝ってというところですね。最終的には、5勝、10勝としたいですけど、まずは目の前の1勝を早く取れるように」。今度こそ、自らの手で白星をつかみにいく覚悟だ。

 自身に向けられる特別な視線は理解している。

 「注目してもらってますし、応援していただいている。それが他の選手以上に、というのは感じるので。応えないといけないなと思っています」

 遊撃一本を直訴してプロの世界へ飛び込み、今季が6年目となる。今も変わらぬりりしい表情。輝く瞳で、未来を見据えた。(デイリースポーツ・間宮涼)

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