【野球】阪神 鳥谷敬氏も絶賛した18歳 ドラフト3位・山田が初実戦で「グレートスロー」U18W杯でも話題 高卒遊撃手育つか

 思わず驚かされたシーンが11日に宜野座で行われた1、2軍合同の紅白戦にあった。六回、2死二塁から豊田が放った打球は三遊間を襲った。三塁手が捕球できなかった時点で内野安打になったと思われたが…するするっと遊撃に入っていたドラフト3位・山田が打球線上に入ってきた。

 次の送球を考えてのことだったのだろう。全力で追うのではなく、タイミングを計りながらバックハンドで捕球した。そしてすぐさま体を切り返し、三遊間最深部から一塁へノーバウンドのストライク送球。見事にアウトにすると、球場は大歓声に包まれた。バックネット前で見ていた岡田監督も目を見張ったような表情が中継に映し出された。

 まだ高卒1年目の18歳。これが1軍の舞台で初実戦だった。最初のプレーでは原口の神キャッチでタイムリーエラーになるところを救われていた山田。「自分の見せ場かなと思って」と繰り出したスローイングは、アマチュア時代から折り紙付きだった。

 昨年、台湾で行われたU18W杯で高校日本代表に選出された山田。遊撃を守ったオランダ戦で右打者が痛烈に引っ張り込んだ打球が三遊間を襲った。それでも山田は膝をつきながらバックハンドで捕球すると、すぐに立ち上がって右足で軸を作り、流れのまま一塁へワンバウンド送球。ボールは勢いよく一塁手のミットに飛び込み、アウトにした。

 このプレーに主催者が「グレートスロー」と称して公式SNSで発信し、世界から称賛の声が集まった。仙台育英時代には2年時に同校を夏の甲子園初制覇へ導き、3年時には主将として惜しくも慶応に敗れたが準優勝。そして台湾で見せたスーパープレーが、印象として刻まれていた。

 そんな山田を2軍キャンプで指導した鳥谷敬氏は「山田選手は体の使い方が上手。ノックを受けるよりも、実戦の方が見栄えがいい。大舞台で戦った経験があるんだなとは思いました」と評した。紅白戦に話を戻すと、目いっぱいのスピードで打球を追えば、送球動作へ移る際に遅れが生じてしまう。あえて捕球直前にスピードを緩め、スローイング動作を考えた上で捕球。そして体幹の強さ、地肩を生かしてのストライク送球。プロ初実戦のワンプレーでこれだけの技術を見せたことは、率直にすごいと思わされた。

 そして遊撃手に求められる要素を備えている山田。岡田監督が重視するのが肩の強さだ。評論家時代に「やっぱりショートは肩の強さが必要。それで守備位置も違ってくるからな」との見方を示してもらったことがあった。ただ単に投げてアウトにするだけでなく、スローイングに自信があれば、他の選手よりも一歩、外野寄りに守備位置を取ることができる。打球を処理できる範囲も広がり、たとえ一塁をアウトにできなくても内野安打でストップできる可能性も高まる。

 これは2死二塁などの状況では非常に重要であり、三遊間、二遊間を抜けそうな打球を止めることで、投手にはもう一度、ゼロで抑えるチャンスが生まれる。スローイングの強さがもたらす相乗効果。岡田監督に解説してもらったことは今も記憶に残っている。

 高卒1年目はプロで戦える体作りなどが主眼になることが予想される。2軍監督も歴任してきた指揮官は以前、「高校生に関して言えば、投手と違って野手はやるべきことが多い」と育成の大切さを強調していた。プロ初実戦で大きなインパクトを残した山田。高卒の遊撃手を育て上げるのは球団にとっても大きなテーマだけに、楽しみな逸材が入ってきたと感じさせた。(デイリースポーツ・重松健三)

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