【野球】阪神 村上頌樹の可愛い笑顔で思い出した7年前の言葉「笑顔が無くなったらしんどい時」ニコニコで山本由伸に投げ勝つ
「SMBC日本シリーズ2023、オリックス・バファローズ0-8阪神タイガース」(28日、京セラドーム大阪)
初めて立つ日本シリーズのマウンドだった。それでも阪神・村上頌樹投手は「落ち着いて入れた」と緊張することなく、臆することなくオリックス打線に立ち向かった。マウンドで時折見せる満面の笑顔。右腕の表情を見ていてふと、7年前のある言葉を思い起こした。
「村上の表情から笑顔が無くなったらしんどい時なんですよ」
7年前の2016年、智弁学園時代の村上をアマチュア野球担当として取材した。その際、どんな時でも常に一緒に行動していた女房役・岡沢智基捕手が村上の特徴をこう語っていた。
「だから笑顔を絶やさせないようにしないといけないんです」。この年、チームは春のセンバツを勝ち上がった。高松商と対戦した決勝では村上自ら1-1の延長十一回に中越えへサヨナラタイムリーを放っていた。「智弁と聞いたら和歌山。自分たちが歴史を塗り替える」と右腕が全5試合を投げ抜いて同校初の全国制覇へ導き、笑みを浮かべながら誇らしげに胸を張っていたことを思い出す。
あれから7年、プロ野球最高峰の舞台、その初戦のマウンドに立った村上は、あの日見た決勝の表情と何ら変わらなかった。初回から時折、笑みを浮かべながらえげつないボールを両コーナーに投げ分けた。二回にはパ・リーグの首位打者・頓宮のバットを真っ二つにへし折り、紅林には自己最速となる152キロのストレートで空振り三振に仕留めた。
味方打線が4点を先制した直後の五回には、先頭・森の打球が京セラドームの天井に消えるハプニングで二塁打に。許した初安打は完全にスタンドインの打球だったが、特別ルールにも助けられた。初めて得点圏に走者を背負い、1死一、二塁から迎えたゴンザレスには7球連続ファウルで粘られた。
それでも「だいぶ粘られたのでしんどかったんですけど、『めっちゃ粘るな』と思いながら(笑)」。助っ人を二飛に仕留め、若月を三ゴロに打ち取ってピンチを脱出した。どんな状況でも笑みを絶やさず、スコアボードにゼロを刻んだ。
「楽しむことができたので良かった」とニコニコしながら7回2安打無失点の快投。相手は球界の絶対的エース・山本由伸だったが「投手戦かなと思っていたので、いい刺激をもらいながら投げられた」と村上は言う。
智弁学園時代は高校野球ファンから「スマイル王子」とも呼ばれていたが、「あんまりっス…。王子キャラとは違うので」と苦笑いを浮かべていた右腕。あれから7年、セ・リーグで防御率のタイトルを獲得し、シリーズ開幕投手という重責を最高の結果で果たした。ボールは力強さを増し、変化球のキレも高校時代から大きくレベルアップした。
そんな中でも変わらない村上の笑顔。きっとピッチングを楽しむ、打者との勝負を楽しむ-。マウンドで見せた可愛い笑みが、快投の源だったと思えるゲームだった。(デイリースポーツ・重松健三)
