【野球】ソフトバンク 涙を誘った斉藤コーチの姿 うずくまる大津をやさしく抱く 06年プレーオフの悲劇から17年

 「CSパ・ファーストS・第3戦、千葉ロッテマリーンズ4-3福岡ソフトバンクホークス」(16日、ZOZOマリンスタジアム)

 目の前で見たあのシーンが赤裸々に蘇ってきた。日本ハムとソフトバンクが相対した2006年のプレーオフ第2ステージ。第2戦、0-0の九回裏、スコアボードにゼロを並べ続けていた斉藤和が2死一、二塁から稲葉に二遊間へはじき返された。二塁手・仲沢がバックハンドで捕球し二塁ベースへ送球するも判定はセーフで内野安打。その間に二塁走者の森本がホームに生還し、斉藤和はマウンドで崩れ落ちた。

 衝撃的だったラストシーン。日本ハム担当のサポートで現場にいたが、斉藤和はなかなか立ち上がれなかった。最後はズレータ、カブレラに両脇を抱えられ涙を流しながらベンチへ。壮絶なドラマを見ているかのようだった。

 あれから17年、ソフトバンクはまさかの逆転負けでファーストS敗退となった。延長十回に3点を先制しながらも、その裏、津森が藤岡に同点3ランを浴び、代わった大津が安田にサヨナラ打を浴びた。

 ホーム付近で前のめりに倒れ込み、うずくまる大津に斉藤コーチはそっと寄り添った。肩を抱き、うずくまる若き右腕を慰めた。ベンチへ戻る際も肩を抱きながら涙を流す大津と一緒に歩いた斉藤コーチ。打たれた投手を一人にさせない優しさがにじみ出たシーンだった。

 よく「投手はマウンドで孤独だ」と言われる。ましてやサヨナラ打を浴びた投手であれば、その心はよりふさぎ込んでしまうだろう。長き年月を経て、短期決戦で打たれた投手に寄り添った斉藤コーチ。自身の経験がそうさせたのかもしれないと思わせるシーンだった。

 藤本監督は「リリーフ陣はよく頑張ってくれた」とたたえた。津森が打たれた直後もマウンドで懸命に慰めていた斉藤コーチ。孤独な投手に寄り添う優しき指導者の姿が、歓喜に沸くZOZOマリンスタジアムの中でひときわ映えていた。(デイリースポーツ・重松健三)

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