【野球】なぜ高校野球の過密日程は解消されないのか クーリングタイムを導入した高野連に望む次なる対応策
今夏の甲子園大会から「クーリングタイム」が導入された。暑さ対策として採用されたもので、五回終了時に選手達は空調の効いたベンチ裏に移動し、火照った体を冷ましたり、水分補給をすると同時に、常駐する理学療法士がサーモグラフィーなどを使用して、熱中症の症状がある選手がいないかの確認も行われている。万全に近い形で選手にプレーさせてあげたいという高野連の思いが形になったものだが、ここで改めて思う。選手の体調を心配するのであれば、地方大会を含めた過密日程を解消することはできないのだろうか。
各都道府県の地方大会を見ていたが、特に準々決勝以降の試合において、エースナンバーを背負った投手が先発マウンドに上がれずに敗退するという場面を何度も目にした。全国最多の173チームが参加した愛知県を例に挙げれば、最大8試合を勝ち抜かなければ甲子園出場切符はつかめない。準々決勝から決勝戦までに1日ずつ休養日が設けられたが、それでも5日間で3試合を戦わなければならない日程だった。
故障を防ぐ意味で、1週間に500球以上は投げられないという規則は設けられているものの、それよりも1週間に3試合も4試合も戦わなければならない日程面を緩和することが、成長過程である高校球児達の故障を防ぎ、よりよいパフォーマンスを発揮することができるはずだ。
甲子園大会を見れば、雨天順延等がなければ、各校が15、16日に3回戦に臨み、18日に準々決勝、20日に準決勝、22日に決勝戦という日程で、3回戦以降の4試合を7日間か8日間で消化しなければならないスケジュールになっている。
日本のプロ野球の先発投手は、時に中4日で登板することもあるが、1週間に1回登板する中6日が主流。大学のリーグ戦では初戦に先発した投手が、中1日で第3戦に先発するケースが多いが、それでも高校野球以上の過密さはない。肉体的にも、体力的にもプロ野球選手や大学生に劣ると思われる高校生に、ここまで酷な日程を強いる必要はないように思う。
プロに進む選手、大学、社会人チームで野球を続ける選手もいれば、野球は高校までと決めている選手もいる。特に高校で野球から離れる選手を思えば、最大限のパフォーマンスを発揮して、グラブやバットを置くことができれば、いい思い出となる。だが、図らずも最後となってしまった試合に登板、出場することができなければ、少なからずの未練が残ってしまう。
甲子園大会を今後もこれまで通り夏休み期間に開催するのであれば、地方大会の開始時期を早めたり、甲子園大会においても、もう少し試合間隔の空いたゆとりを持たせた日程を組むことはできないのだろうか。
高野連関係者は「各都道府県において、毎年、選手の負担を軽減する対策は練っていますし、改善されてきている部分もあるんです。ただ、選手のことを思えば、もっと日程面を楽にしてほしいという声があるのも事実ですし、我々もさらにいいプランはないかと常に考えを巡らせています」と語ってくれた。
プレーする選手、プレーする環境を整える関係者、試合を見守るファンの思いは同じ。練習で培ったものを最大限グラウンドで発揮したい、してもらいたい-。盛り上がる甲子園大会に水を差すつもりは全くない。一朝一夕で改善できるもの、できないものがあるとは思うが、日程面を理由に力を出せず、高校野球を引退する選手が一人でも減ることを強く願うばかりだ。(デイリースポーツ・鈴木健一)




