【スポーツ】18歳スイス人ドライバー、日本で初レースの夢かなう 母の母国で新たな挑戦
スイス人の父と日本人の母の間に生まれた現役高校生レーサー、ミハエル・サウター(18)が7月22、23日に栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催される「フォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ(FRJ)チャンピオンシップ ラウンド4」にスポット参戦する。これまで欧州のF4レースで経験を積み、念願だった母の母国で初レース。期待と不安に包まれながら、新しい世界へ第一歩を踏み出す。
母・美由紀さんが兵庫県出身で、日本にルーツを持つミハエル。近くて遠い存在だった日本のレースが、いよいよ現実になる。「クラッシュをしないように、どんどん前に出て確実なレース運びをしたい」。レースへの意気込みを語る18歳の表情は情熱的だ。
父・ステファンさんがエンジニアを務める家族チームのドライバーで、21年から今年にかけて欧州各地でF4カテゴリーのレースを転戦。6月10、11日にチェコのスロバキアリングで開催されたレースは2位で表彰台に立った。過去の実績が評価され、今回はF3に相当するFRJにクラスを移し「SUTEKINA RACING TEAM」の一員としてもてぎを走る。
幼少期に家族旅行で日本を訪れたことはあるが、日本のレースは映像などで見た経験だけ。サーキットを訪れるのも19日の来日後と、ぶっつけ本番で挑む。それでも、テスト走行と3本のレースで結果を出さなければならない。現在は自宅のドライブシミュレーターでもてぎのコース映像を見ながら仮想練習中。「スピードが出やすいコースなので楽しみ」と想像力を膨らませ「ブレーキングポイントは把握したし、ライン(走行する位置取り)も頭に描いている」とイメージトレーニングは万全だ。
今回は家族チームを離れるが、プロチームのサポートを受けるという点では心強く、参戦に向けて尽力したFRJ事務局や「SUTEKINA-」のチーム関係者に感謝しているという。
同チームでは6月の「FRJチャンピオンシップ ラウンド3 岡山大会」で初優勝したニュージーランド人ドライバーのリアム・シーツも出場予定で、強豪がひしめく。「日本での経験値という点では不利だが、早めに勝負を仕かけて、先頭に出て走り抜きたい」。結果を出せば、今後のレースにつながる可能性も期待できる。「今回だけでなく、またチャンスがあれば日本で走りたい」。目標は最高峰のF1レーサー。未知の可能性へ向かって突き進む。(デイリースポーツ・中野裕美子)