【芸能】SKYE・小原礼が明かす、ブレッド&バターとの半世紀(前編)
今世界中でブームになっている日本のシティポップの原点と言えるのが、岩沢幸矢(さつや=79)と岩沢二弓(ふゆみ=73)の兄弟デュオ「ブレッド&バター」だ。11月6日に東京・EXシアター六本木でコンサートを予定するなど、共に70代となった今も元気に活動している。半世紀にわたる親交があり、11・6でもバンド「SKYE」で共演するベーシストの小原礼(70)に、ブレバタの魅力と、彼らとの関係について聞く、その前編。(デイリースポーツ・藤澤浩之)
◇ ◇
1970年代初頭、19歳の小原は林立夫(ドラムス)を介して岩沢兄弟と知り合った。小原、林、はっぴいえんどで知られる鈴木茂(ギター)は、高校生時代にSKYEを結成している。
当初は「一緒に音楽をやっていなかったと思う。気の合うお兄さん方という感じで、遊びに行ってはレコードを聴いたり、そのぐらい」という関係で、バッファロー・スプリングフィールド、モビー・グレイプ、オハイオ・ノックス、フィフス・アヴェニュー・バンドといった米国のアーティストを聴いていたという。
音楽を一緒にやり始めたのは「僕が二十歳くらいの時じゃないかな。その頃はよくレコーディングとかも参加させてもらって」という。72~74年の小原は伝説のサディスティック・ミカ・バンドで活動する一方、兄弟らが共同生活を送っていた湘南のI邸に都内から車で通っていた。名曲「ピンク・シャドウ」が収録された名盤「バーベキュー」(74年)はここから生まれた。
「ホントに色んな人たちが、10人以上住んでたのかな、コミューンみたいになっていて。僕はなぜ日帰りだったんだろうと思うぐらい、ほぼ毎日行って遊んでました。音楽とかあんまりしてなかったかもしれない」
その後、70年代末に小原が渡米してからも「何回もうちに遊びに来てくれたりしたんで、付き合いはずっと続いています」と、交友は途切れなかった。
「若い時から知り合ってる仲間で、お互いにそんなに根本が変わっていないので、例えば何年か会ってなかったとしても、再会した時にすぐ当時のいい関係に戻る。不思議なもんでね、それは」
小原から見た兄弟の性格を聞くと、次のように答えてくれた。
「さっちん(幸矢)はあんまり変わってない。メンタリティーとか一緒なんで。当時から好きなものも好きな音楽も変わってないし、やってることもほとんど変わってないし。音楽に対するアプローチとか、曲の書き方とかも多分変わってない。若い時から確固たるものが出来上がっていた」
「二弓は年が近いっていうこともあって、後半ですけど一緒に曲を作って、週一くらいで通ったりしてる時期もありましたし。年が近いだけ、(小原と)似てるところも多少ある」というもの。
2人の違いを「さっちんの方が大人だし、色んなことを飲み込んで自分なりに丸く収めるタイプだったと思う。二弓はお兄さんとトシも離れてるし、若い分とんがって、突き進んでいこうというところがあったんじゃないかな。(今も)全然変わらないですね」と、笑顔で説明した。(後編に続く)
◇ ◇
【コンサート日程】
「Bread & Butter Concert With SKYE」(11月6日・EXシアター六本木)
「SKYE &FRIENDS(尾崎亜美、ブレッド&バター、南佳孝)~僕たちとシティ・ポップ~」(11月20日・長野市芸術館メインホール)