【野球】新型コロナウイルスの爆発的感染拡大に苦しむプロ野球界を憂う。実質の消化試合が増えることにファンは納得がいくのか

 新型コロナウイルスの爆発的感染拡大に苦しむプロ野球界を憂うしかない。このままでは熱いはずのペナントレースが、実質の消化試合だらけになってしまう。

 現在のプロ野球界の悲惨だ。セ・リーグで首位を独走するヤクルトに続き、原辰徳監督(63)率いる巨人では、菅野智之(32)、大勢(23)、岡本和真(26)、中田翔(33)、丸佳浩(33)に加え、元木大介ヘッドコーチ(50)ら首脳陣が新型コロナウイルスの陽性判定を受けた。スタッフを含めれば19日、20日の2日間で計57人がチームから離脱している。

 パ・リーグでは日本ハムがビッグボス・新庄剛志監督(50)に続いて、山田勝彦監督代行(53)も陽性判定を受けて、木田優夫2軍監督(53)に指揮を代わった。感染拡大は日増しに球界全体を席巻している。

 これ以上、陽性判定者が増加すれば、26日から2日間行われるオールスターゲームの開催さえ危ぶまれるだろう。だが、問題はそれにとどまらない。確かに12球団とも、ペナントレースを戦う上での条件は同じだ。NPB(日本野球機構)としても、新型コロナウイルス感染予防ガイドに基づき、特定の球団を利するようなことは決してない。実際、一時は、高津臣吾監督(53)を含む30人にもおよぶ感染者を抱えていたヤクルトも、なんとか選手をやり繰りしながらも戦いを続けてきた。

 巨人の緊急事態を受けて、今後はNPBと12球団が臨時で実行委員会を開き、試合開催などを話し合うだろう。それでも、日本国内ではオミクロン株の新たな派生型「BA・5」への置き換わりにより、「第7波」の急拡大が止まらない。20日には1日当たりの新規感染者が過去最多の15万2536人となった。急速に減少するのは難しい。

 12球団ともに、細心の注意を払い、新型コロナウイルス対策に取り組んでいる。それでも今後、感染拡大が他の球団にこれまで以上にのしかかっていく可能性はある。

 プロ野球は興行の世界である。急きょ長い期間、試合開催を中止するのは難しい。今後もウイズコロナでスケジュールをこなしていく方向を模索していくしかない。これは難しい問題をはらんでいる。一部の特定球団を応援するファンは勝ちにこだわり、対戦チームが新型コロナウイルス拡大の影響で戦力ダウンとなることを歓迎するムードになるかもしれない。

 確かに1勝は1勝。優勝やクライマックスシリーズへの出場権がかかるチームには大事な試合だろう。だが、大半のファンはプロ野球に高いレベルの試合を求めている。人数合わせで編成したチームを相手に大勝するような、実質消化試合が続いて納得できるのだろうか。何か妙案はないのだろうか。(デイリースポーツ・今野良彦)

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