【野球】キング・カズ騒動に思う名選手の引き際 巨人・原辰徳現役最後の日

 夢の続きとして巨人のユニホームを着る原辰徳監督
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 カズこと三浦知良(54)はどんな言葉を残すのだろうか。キング・カズ騒動に名選手の引き際、巨人・原辰徳の現役最後の日を思い出した。

 サッカー解説者・セルジオ越後のYouTube動画での発言に対し、サッカー元日本代表FW三浦知良が所属するJ1横浜FCが抗議声明を発表した。この問題が今後どうなっていくのか不明だが、カズが移籍先を探し現役を続行するだろう。

 今回の騒動で脳裏によみがえってきたのが、現巨人監督の原辰徳の姿である。ボロボロになっても現役を続行するのか、余力を残してユニホームを脱ぐのか-は選手本人が判断すればいい。周囲がとやかくいう話ではないと思う。原も実父でもある原貢東海大学硬式野球部名誉総監督(故人)から、引退の前年「余力を残せ。勝負師として引き際を考えた方がいい」とアドバイスされた。それに耳を傾けず、現役を1年延長した。

 原が現役最後の試合でみせた姿は、掛け値無しに格好良かった。1995年10月8日、東京ドームで行われた巨人-広島戦。私は巨人担当キャップとして現場にいた。原は4番・三塁手として先発出場し、第3打席で紀藤真琴から左中間スタンドへ通算382本目の本塁打を放った。

 そして、現役最終打席では広島の粋な計らいで、数々の名勝負を演じてきた大野豊がワンポイント登板。レフトフライに倒れたが、詰めかけたファンの歓声、拍手はドーム内に反響し耳に痛いほどだった。

 1-3で巨人が敗れた。だが試合後の引退セレモニーで「巨人軍の4番打者には何人も侵すことができない聖域がある。今日、私の夢は終わります。しかし私の夢には続きがあります」と、涙をこらえてスピーチした姿は感動すら覚えた。

 そしてオープンカーで場内を1周し、引き上げる際に長嶋茂雄監督(現終身名誉監督)に抱き寄せられると、もう我慢の限界だったのだろう。原の頰を止めどなく涙が伝った。その姿にもらい泣きしそうになった。

 長嶋監督のコメントも私には粋に感じた。私たち長嶋番の「原さん、泣いていましたね」という質問に「なんでタツ、泣いてるの?悲しかったのかなぁ」と返答したからだ。

 もちろん、長嶋監督が原の涙の意味を知らないはずはない。とぼけたようなコメントは、自らも引退した1974年10月14日の第1試合で、通算444号本塁打を放ったミスターだからこその言葉だったに違いない。

 原は確か「夢の続きがあります」とスピーチした。カズの夢の続きはいつスタートし、それはどんなことなのだろうか。=敬称略=(デイリースポーツ・今野良彦)

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