【野球】ヤクルト日本一“陰のMVP” ナインが「嶋さんの存在」に感謝する理由

 グラウンドで戦う選手がいれば、ベンチから鼓舞し続ける選手がいる。絆が武器で、一体感が強さに変わる。20年ぶりの日本一達成したヤクルト。陰のMVPはムードメーカーの嶋基宏捕手(36)だ。

 選手らに強さの秘密を問えば、「結束力」や「雰囲気」という答えが続出する。そして続けるのが「嶋さんの存在」だという。その一方で「(劣勢でも)逆転できそうな雰囲気があるよね。それは出ている選手たちがうまくやってくれている」と嶋は仲間に感謝する。

 この一体感が生まれたのは、2021年4月のこと。チームは新型コロナウイルス感染の影響を受け、主力選手が続々と“離脱”した絶体絶命の危機に直面していた。嶋は言う。「みんなが帰ってくるまで、何とか乗り切ろうって。そこから少し変わってきたかな」。フォア・ザ・チームの精神が自然と高まった。

 ベンチにいても一緒になって戦っていた。嶋はネクストへと向かう選手に、何やら耳打ちをよくする。「内容は企業秘密」と笑うが、「いい打席に入れたらいいなと思って。やっぱり勝ちたいから」。捕手目線からの攻略のヒントを惜しみなく送り、「グラウンドにいる選手が、何か気づけるような声を出すようにしている」と心掛けた。

 嶋は思い返していた。ヤクルトに移籍して、21年で2年目。入団時には球団へ、異例の“要望”を出した。「自分が出ていないときに、どれだけ応援できるか。どれだけ声を出せるか。僕はそういうスタイルですけど、大丈夫ですか?」。それぞれが描く日本一への貢献の形。思いの数だけ、ヤクルトは強さを増した。(デイリースポーツ・松井美里)

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