【野球】ヤクルト・坂口が三振後に見せた笑顔 現役唯一の猛牛戦士、感謝の1500試合

今季も懸命にバットを振る坂口。8月10日のロッテとのエキシビションマッチでは適時二塁打を放った。
通算1500試合出場を達成したヤクルト・坂口=ハードオフ新潟
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 これまでも、いくつもの節目に立ち会ってきた。今年は石川雅規投手が20年連続勝利を挙げ、青木宣親外野手が日米通算2500安打を達成。奥川恭伸投手のプロ初勝利も見てきた。そしてまた一人、その瞬間を見届けることができた。

 15日のDeNA戦(ハードオフ新潟)で、坂口智隆外野手が史上197人目の1500試合出場を達成した。九回に代打で登場し、大きな拍手が送られた。結果は空振り三振。快音を響かせることはできなかったが、それでも試合後の取材で坂口は笑っていた。

 「三振かー。今年の僕らしいなと思ってね。選手である以上、ぶち破って、またいい時がくるように信じて、諦めないようにやっていきたい」

 02年のドラフト1位。初出場は近鉄時代の03年10月7日のオリックス戦だった。現在では最後の近鉄戦士として、往年のファンの思いを背負って戦っている。16年にはヤクルトに移籍。プロ野球選手として坂口の歩いてきた19年は、険しい道のりだった。

 右肩脱臼に、靱帯(じんたい)断裂。死球での左手親指骨折もあった。全力プレーの代償はいつも大きく、体に残る傷跡も深い。「大きなケガをした試合はすごく鮮明に記憶に残っています」と振り返る。それでも坂口はグラウンドに立ち、感謝を伝える場所を求め続けている。

 取材で向き合っていると、視線にその“先”を感じた。何人もの顔が浮かんだのだろう。今季の前半戦は、多くの時間を2軍で過ごした。それでも懸命に前を向けたのは、戦う理由があったからだろう。

 坂口は言葉を紡ぎながら、何度もホッとした表情を見せた。起用してくれた首脳陣、鼓舞し合った2軍の若手選手らや同級生、トレーナーに治療の先生…。「諦めることなくやってきてよかった」。あふれる思いは、言葉に伝った。

 坂口は言う。「僕みたいな選手がそれだけ試合に出られた。本当にいろいろな方々が、試合に出られる状況にしてくれた。僕はその方々の数字だと思っています」。支えられ、助け合いながらみんなで達成した節目の記録。坂口が笑顔を見せた理由がわかった。(デイリースポーツ・松井美里)

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