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【野球】カープファンに清原回避を納得させた男とは 14奪三振プロ初勝利 10勝で新人王に

 プロ初勝利を挙げた広島・長冨浩志=1986年4月17日
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 楽天のドラフト1位・早川隆久(早大)が16日のオリックス戦で98球の完封でリーグ単独首位の5勝目を挙げた。ドラフト会議で4球団競合したが、かつて6球団競合した清原和博のドラフト1位指名を回避をしたことをカープファンに納得させた男がいた。清原、桑田真澄の指名で話題になった1985(昭和60)年度のドラフト会議で、広島が単独1位指名した長冨浩志(NTT関東)だ。その長冨は1986年4月17日・ヤクルト戦(神宮)で7回14奪三振という圧巻の投球で、プロ初勝利を飾った。

 私は神宮球場で行われたその試合を取材していた。剛球を武器にまさになで切りという表現が正しい投球だった。三回無死二塁の場面で先発山根和夫の後を託された長冨はブロハード、レオン、八重樫幸雄のクリーンアップから3者連続三振を奪い、続く四回も3者連続三振に仕留めた。

 当時、広島は北別府学、大野豊、川口和久の3本柱が盤石で、ドラ1位の即戦力ルーキーでも先発のチャンスに恵まれず、開幕から与えられた役割は中継ぎだった。

 だが、この快投で阿南準郎監督は先発起用を模索。8月12日、広島市民球場で行われた大洋(現DeNA)戦で初先発してからは先発に定着し連戦連勝だった。最終的には8連勝を含む10勝2敗2セーブの好成績で、パ・リーグの清原とともにセ・リーグの新人王に輝いた。

 当初から、ビッグマウスに定評があった。初の沖縄キャンプでスピードガンの故障で183キロを計測したが「スピードには自信があります」と平然といってのけた。ベテラン投手並みのマイペース調整で「開幕に間に合わせればいいんでしょ」と公言し、温厚な阿南監督を激怒させたこともあった。

 開幕してからもビッグマウスは健在で、初勝利を挙げたお立ち台では「三振ってこんなに簡単の取れるんですね」と発言した。広島は当時、小早川毅彦、川端順が2年連続で新人王を獲得していた。長冨には3年連続新人王の期待がかかっていたが「優勝すればもらえるんじゃないですか」と全く意にも介していなかった。

 実際、広島はリーグ優勝を果たし、長冨は新人王に輝いた。今思えば単なるビッグマウスではなく、有言実行の人間だった。

 不思議と堅実な面もあった。父親と弟が違う銀行に勤務していた。そのため、推定6000万円の契約金を半分に分け、それぞれの銀行に貯蓄したことを思い出した。

 彼はその後、日本ハム、ダイエー(現ソフトバンク)で活躍し、2002年を最後に現役を引退。NPBのコーチ、独立リーグのコーチ、監督などを経て、都内のスポーツ用品店「アルペン」に勤務しながら、学生野球資格を回復した。今年3月末には8年3カ月働いたそのスポーツ用品店を退社し、現在は、秋田県にあるノースアジア大学の職員&硬式野球部の投手コーチとして後進の指導に当たっている。=敬称略=(デイリースポーツ・今野良彦)

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