【野球】阪神ドラ1・佐藤輝が並のルーキーではない理由 驚かされた学習能力

紅白戦で二塁打を放つ佐藤輝(2月12日撮影)
紅白戦で高橋(左)から右翼線に二塁打を放つ佐藤輝(2月12日撮影)
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 正直、並のルーキーではないと思わされた。阪神の宜野座キャンプ第2クール初日、スタンドからドラフト1位・佐藤輝明内野手=近大=の打撃練習を見ていると、興味深いシーンがあった。

 バックネット裏で近本、梅野らと並んで行っていたティー打撃。気持ちよさそうにバットを振っていた佐藤輝が突然、スイングをやめて先輩2人を凝視し始めた。ドラ1の視線が向いたのは隣にいた近本、梅野のバックスイング。プロ野球の1軍で活躍するバッターの要因として「後ろを小さく、前を大きく」という格言がある。トップの作り方をコンパクトにし、フォローを大きく取らなければ、プロのストレートには対応できないと言われている。

 一方、ティー打撃を行っていた佐藤輝は「後ろも大きく、前も大きく」というイメージだった。並んでスイングを重ねていく中、その“違い”に気づいたのかもしれない。コロナ禍で今キャンプは取材制限があるため真意は聞けなかったが、先輩たちのスイングを見つめた後、左手でバットを持ちながらバックスイングの取り方をイメージしていた。

 これまでさまざまなルーキーを見てきたが、プロ1年目のキャンプで通常メニューを途中で止め、他人のスイングを見つめる姿は正直、見たことがなかった。誰しもが自分のメニューを消化するだけで精いっぱいになる。そしてチームとしての動き方など覚えることが多く、なかなか余裕も生まれない。

 だが佐藤輝は自然体…というか、目を輝かせながら練習に取り組んでいる。スイングも先輩たちを見て、改善点を探しながら“盗もう”という意欲すら感じさせる。

 現役時代に通算247本塁打を放ち、2005年に監督として阪神をリーグ優勝に導いた岡田彰布氏=デイリースポーツ評論家=は「プロの球に慣れてくれば打てる」と第2クール初日に評していた。その上でポイントに挙げていたのが、バックスイングの取り方-。そこに関しては「本人が実戦の打席に立つ中で、考えて修正していけばいい部分」との見方を示していた。

 その後の実戦ではしっかりと1軍の投手にも対応できる部分を見せた佐藤輝。他人から学び、時には盗み、自分のモノにしていく-。この姿勢がある限り、幾度となく訪れるプロの壁も乗り越えてくれそうな予感がする。(デイリースポーツ・重松健三)

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