【野球】実績乏しい高校生には絶好の機会 NPB&日本高野連タッグの合同練習会

 日本野球機構(NPB)と日本高野連の主催で8、9月に高校生対象の合同練習会開催が決まった。日程は8月29、30日と9月5、6日、9月12、13日を確保。各回1泊2日を予定しており、実施回数などは参加希望者の数を考慮していく。

 第102回全国高校野球選手権の中止を受け、開催を目指して準備を進めている神奈川県高野連を含めて全国47都道府県49大会で実施の方向となった。ただし、原則として無観客開催。各地域の事情でNPBスカウトらが入場できないことも危惧される中、日本高野連からの申請を承認した日本学生野球協会・内藤雅之常務理事は「3年生部員の進路を可能な限り、平等性を担保するように対応する」と意図を説明した。

 8月1日と従来より受け付けるのが早まったプロ志望届を同21日までに提出することが参加条件となっていることから、NPBを目指す今秋ドラフト有力候補たちが全国各地から一堂に会することが予想される。

 日本高野連・八田英二会長も「特にプロを目指せるような、高校3年生のアピールの場を作ってあげよう」と開催の狙いについて言及した。同連盟としては春夏の甲子園を失った球児へ向け、今春センバツ出場権を持っていた32校による甲子園交流試合に続く“救済措置”第2弾の意味合いも強いと感じる。

 練習方式などの詳細は今後、主催する双方が協議していく。現時点で、紅白戦のような実戦形式も想定されているという。イメージとしては昨春にあった侍ジャパン高校代表候補による国際大会対策研修合宿のような形式となる可能性が高い。

 同合宿で思い起こされるのは、大船渡・佐々木朗希投手(現ロッテ)の衝撃だ。実戦形式の練習で高校生最速となる163キロをマーク。同世代屈指の打者たちを寄せつけず、ネット裏に集結したスカウト陣からは絶賛の声が飛び交った。

 異次元のスピードをたたき出したその日から“令和の怪物”として佐々木の存在は全国区となった。甲子園といった全国大会での実績ゼロながら、侍ジャパン高校代表選出や4球団競合によるドラフト1位でのプロ入りにつながったのは言うまでもない。

 コロナ禍で迎える今秋ドラフト会議。アピール機会が減ったことで高校生候補は下級生までに実績がないと厳しいという見方をされてきた中、合同練習会は無名候補にとっては大きなチャンスとなり得る。

 グラウンドにいる全選手がプロ入りへ向けたハングリー精神を持ちながら、実力をぶつけ合う-。負けたら終わりのトーナメントのムードとはひと味違った、独特の雰囲気が広がる予感。実績に乏しい選手が一躍スターダムへと駆け上がるような舞台となることに期待したい。(デイリースポーツ・佐藤敬久)

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