【スポーツ】初日1番トリプルボギーから挽回 上田桃子のV

 女子ゴルフのヨネックスレディース最終日は昨年6月9日、新潟県・ヨネックスCCで開催され、通算6アンダー3位から出た上田桃子(32)=かんぽ生命=が6番からの3連続を含む8バーディー、1ボギーの65で回り、通算13アンダーで逆転優勝。3月のTポイントレディース以来の昨年2勝目、通算15勝目をマークした。

 07年に賞金女王に輝、以来トップ選手の地位を守ってきた上田の貫禄勝ちだった。大差をつけて迎えた18番パー5も攻め手を緩めず、果敢に2オンを狙いってピン左横30メートルにつけた。ファーストパットは2メートルオーバーしたが、このウィニングパットを沈めて右の拳を強く握った。

 前半は当時世界ランク34位で1打差の首位から出たキム・ヒョージュとの一騎打ちとなった。3番のボギーでその差は2打に広がったが、6番からの3連続バーディーでトップに並ぶと、キムが9番でダブルボギーをたたき、単独首位に浮上。後半インも4バーディーを奪い、最後は6打の大差をつけてVゴールに飛び込んだ。

 「ヒョージュはうまい。3打差つけるまでは安心はできなかった。16番のティーショットを打った後でいけると思った」。記者会見ではこう言ってほっとしたような笑みを浮かべた。

 通算15勝の中でも印象深い1勝だったに違いない。初日1番パー5はあろうことかティーショットを左へ打ち出してOB。まさかのトリプルボギースタートとなったが、その後5バーディーを奪って2アンダー70と立て直した。2日目に68を出して3位に上がり、最終日に首位との1打差を逆転。「初日のトリプルボギーの後、ここから丁寧に取り戻していこうと気持ちを切り替えられた。ずっと我慢のゴルフでしたね」と振り返った。

 記者会見では2日目終了後の夕食時に、最終日に自分がどんなゴルフをするかの気持ちが固まったという逸話も明かした。「そのお店に『屋守』(読みはおくのかみ)という名前のお酒が置いてあり、ラベルに喜怒哀楽をコントロールすると書いてあったので、2口飲んだ。その時明日は自分らしく攻めようと思った」。言葉通りにメンタルをしっかり管理した見事な優勝だった。

 狙って勝った優勝でもあった。この大会は過去に一昨年をはじめ2位が3回あり、16年はプレーオフで負けている。「この大会はなぜか相性がいいし、そろそろ優勝したいなというのはあった。やっとリベンジができました」と充実感を漂わせた。今季開幕の見通しはまだ立っていないが、こういう前代未聞の危機的状況にこそ、上田のようなリーダーシップを持つ実力者の存在は大きい。“コロナ後”の女子ゴルフ界“復旧”の中心になってくれることを期待したい。

 上田桃子(うえだ・ももこ)1986年6月15日、熊本市出身。東海大付属第二高卒。05年プロテスト合格。07年ライフカードレディースで初優勝し同年賞金女王。通算15勝。昨年ドライビングディスタンス245・97ヤード(14位)。161センチ、54キロ。血液型A。

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