【芸能】テレビの新たな可能性 コロナ禍が生んだ視聴者参加、双方向性番組増える
コロナ時代にテレビ各局が、新企画を打ち出している。外出自粛による在宅率を生かし、双方向の高い番組が増えているのも特徴の1つ。テレビ離れが叫ばれて久しいが、ピンチをチャンスとばかりに新たな可能性が模索されている。
TBS系音楽番組「CDTVライブ!ライブ!」(月曜、後10・00)は、アーティストによる自宅での歌唱映像「おうちライブ」の派生として、AIの「ハピネス」を歌う視聴者投稿を募集。4月27日放送回でAIの歌唱と投稿された映像をコラボさせた。
総合演出の竹永典弘氏によると「おうちライブ」はアーティストによる完全なる自撮りで、映像が届くまでどのような内容なのか分からないという。「歌手が自分で作るライブ」をコンセプトにしており、尺も選曲も演出も番組サイドからは何も口を出していない。
AIから届いた映像に「みんな一緒に歌って」と呼びかける場面があり、視聴者投稿の企画を決定。音楽番組を見ながらテレビの前で歌う視聴スタイルを一歩進めた形だ。
100通以上が届き、竹永氏は「AIさんが『みんな一緒に歌って』と言ってなかったら、この企画はなかったです。急きょ(募集を)決めて、AIさんに確認して、是非是非となった」と舞台裏を明かす。
11日の放送では「ハピネスを一緒に歌おう」企画の第2弾が流される。竹永氏は「テレビって一方通行ですけど、だからこそ視聴者が参加できることが大事。いま家でやれることは限られてますし、その中で家族で歌うだけでも楽しいじゃないですか?一緒にテレビを遊び道具にできたら」と期待している。
TBSではクイズ番組「東大王」がリモート生放送を行い、視聴者がリモコンのdボタンにより回答できる方式を採用した。リモート出演した回答者たちがネット回線の不具合で“消える”など、本来はありえない状況が新鮮だった。
テレビ東京の「家、ついて行ってイイですか?」(水曜、後9・00)はロケのマニュアルを公開し、視聴者に番組風映像の投稿を呼びかけている。人気番組の経験値を開陳する禁断の一手だが、6日に視聴者が投稿した「家、撮ってもらってイイですか?」の第1弾が放送され、今後も定着しそうだ。
コロナ禍だからこそ生まれる“ありえない”たちが、新たな鉱脈。「家、ついて行ってイイですか?」の高橋弘樹プロデューサーは言う。
「コロナによりルールが変わるから、新たな企画をやれるって盛り上がってます。ルールが変わると違うものをやらなきゃいけない。新企画の提出も増えました。スタッフは生き生きしています」
(デイリースポーツ・古宮正崇)