【野球】公式戦開催不透明な学生野球界…選手の希望を絶たないために
学生野球に球音が響いてこない。高校野球はセンバツに加え、準決勝以降を打ち切った沖縄大会を含めて47都道府県の春季大会が中止。大学野球も全国26連盟のリーグ戦が開幕延期や中断、開催方式の変更を打ち出すなど不透明な状況が続いている。
高校の公式戦開催の断念が発表されるたびに日本高野連や各都道府県高野連からは「断腸の思い」という言葉が目立ち、関係者の表情からも苦渋の決断だったことが伝わってきた。1年ごとに必ず代替わりする学生野球。同じメンバーで戦うのは“この1年”しかない。
現チームで日々の練習の成果を発揮する機会をなくさないことと新型コロナウイルス感染リスクとをてんびんにかけ、難しい決断に迫られているのは大学野球も同じだ。6月から8月に開幕が延期となった全日本大学野球選手権。4月はじめの段階で“中止”ではなく“延期”に踏み切った理由に、選手への思いが象徴されていた。
大学野球は秋までシーズンが続くが、地方の大学などでは春季リーグ戦で最上級生が引退するケースが珍しくない。全日本大学野球連盟・内藤雅之常務理事は8月開催を目指すことについて、「春の大会が最後という4年生に対して少しでも希望が持てるように」と説明。コロナ禍の収束を大前提として最善を尽くしていく姿勢がうかがえた。
決して事態を楽観視しての判断ではない。各大学26連盟の中には開会式の取りやめや無観客での開催をすでに決めているリーグも出てきた。臨時理事会や運営委員会といった話し合いの場を何度も設けながら、慎重に開催可否を探っている。
春季リーグ戦と入れ替え戦の通常開催を中止した東都大学野球連盟は、秋の開催も厳しい状況だという認識を持って進めることを示唆した。関係者からは競技継続者のために、プロや社会人のスカウトを招いてのトライアウトのような機会を要望する声も上がっているという。入れ替え戦がなくなって昇格のチャンスをなくしたチームへ何らかの措置の検討も強調した。
高校、大学ともに休校が続く現状では、今年のうちに試合ができるのか不安の方が大きいだろう。少しでも学生が野球に希望を抱けるように-。公式戦開催を最優先に尽力するのはもちろんのこと、予断を許さない状況だからこそ東都のような“救済措置”を示していくのも選手にとって希望となるはずだ。(デイリースポーツ・佐藤敬久)



