【野球】甲子園外野席最後列から見る入場行進 花咲徳栄・岩井監督に伝授されたルーティン

 史上初の中止となった今春センバツに出場予定だった花咲徳栄ナインが19日に埼玉・加須市内の同校グラウンドで“模擬開会式”を行った。この日は通常通りの開催であれば甲子園で出場32校による開会式当日。主将で今秋ドラフト候補の井上朋也内野手(2年)らが、行進曲に決まっていた「パプリカ」の流れる中、背番号付きの公式戦ユニホーム姿で行進した。

 教え子たちの堂々とした姿を頼もしく見つめつつ、発案者である岩井隆監督は「やっぱり、甲子園でアドレナリンが出る彼らを見たい。甲子園っていうのは、選手を育ててくれる場所だと思っているので」と率直な思いを口にした。

 指揮官にとっても開会式は特別なものだ。選手の行進を眺めていると、決まって同じ気持ちになるという。「よし、やってやるぞっていう覚悟が決まるっていうか。思い切ってやらせたろうっていうね、覚悟が決まるんですね。開会式っていつも」。

 開会式の最中は外野スタンドの最後列で過ごすようになった。きっかけは智弁和歌山の前監督で現在は名誉監督を務める高嶋仁氏。11年夏の甲子園で1-11と大敗後に話す機会を得ると、ふと気になって開会式をどこで見ているか尋ねた。

 「『(高嶋氏は)そこから見る甲子園が一番いい』って。そこを選手が歩いてきたら、覚悟を決めるって聞いたから。やってみようと。やってみたらすごいきれいでね。すごいきれいで美しい」。甲子園春夏通じて史上最多の68勝を誇る名将の影響を受け、岩井監督自身の聖地での“ルーティン”にもなっている。

 「いつになるかわからんけど、早めにあそこに帰ってうちのユニホームを見たいですよね」。聖地での指揮は春夏合わせて11度で17年夏に全国制覇を成し遂げるなど“常連”といえる岩井監督にとっても、甲子園はひと味もふた味も違う場所。思いの強さがひしひしと伝わってきた。

 今回のセンバツ中止に心を痛めたのは、選手だけでなく指導者も同じだったにちがいない。いまだ新型コロナウイルス感染拡大の終息は見えず、各都道府県の春季大会の中止や延期が相次いでいる。1日でも早く、球児たち、指導者たちが野球に打ち込めるようになればと願うばかりだ。(デイリースポーツ・佐藤敬久)

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