【野球】阪神・西と梅野、野球教室に積極参加の訳は…野球人口減少に危機感

 今年は、このバッテリーのお立ち台を何度見られるだろう。

 二人の出会いは、16年だった。西と梅野。SSK主催の野球教室に講師役として参加。当時はまだ別々のユニホームに袖を通していた。それでも、子どもたちに夢を与えたい…その思いは当時から同じだった。野球教室でプロ野球選手にふれ、身近に感じ、少年たちは野球選手を目指す。かつての西もそうだったという。

 「自分も野球選手を見て、憧れて、この世界に入ってきたので。そういう子どもたちが減るのは正直寂しい。だからこそもっとたくさんの人に、野球教室へ来てもらえるように頑張りたいですね」

 平成も終わりを告げようとしている。そんな中、進んでいく少子化、プロ野球選手を目指す球児が少なくなっている現実は、プロ野球選手として寂しかった。「野球人口が増えたらいいなと思って」。SSKの取り組みは、そんな西の思いに通じていた。

 SSKでは、現在2つの活動に力を入れている。スポーツの持つ力を広げ、社会を元気にするために。社としての強い思いは、選手たちをも動かした。その活動は(1)野球をつかさどる審判の技術向上を通して、野球に夢が持てる環境を整備していくこと。(2)野球の原点であるキャッチボールの取り組みの2点だった。

 少子化や、趣味・趣向が多様化したことによって、野球人口が減っていることが背景にあるのはもちろん、東京オリンピックで野球・ソフトボールが08年の北京以来、3大会ぶりに正式種目として選ばれたことが大きな発端となった。

 15年からプロ野球選手会が実施している「キャッチボールクラシック」(制限時間の中で何回キャッチボールができるかという競技)のサポートも活動の一つである。プロ野球選手であっても1日に何度も行うキャッチボールは、野球の楽しさの原点だ。野球に親しみやすさを持ってもらうことも目的に、小・中学生に広げている。

 オフに毎年行われているSSK野球教室は、キャッチボールに時間をかけていることが印象的だった。選手たちがゆっくりと時間をかけて回り、声をかけたり、時には自ら捕球し投げ返したり…。梅野も「捕球後、しっかり踏み込んで」とアドバイスも惜しみなく送った。

 梅野自身、実は幼少時代、野球教室に参加したことはなかったという。「そもそも野球教室自体、近くでなかったんよね」と笑う。それでも幼い頃、ヤクルトの高津臣吾2軍監督(当時ヤクルト投手)がスタンドに投げ入れてくれた白球をキャッチ。そのボールは宝物になった。ずっと大切に持ち続けていたという。

 現在のプロ野球選手たちも、かつては憧れを抱き、その背中を追いかけてきた。そして今度は、その目標の一人になることができる。西が「SSKのためになるなら、積極的にやっていきたい」と笑えば、「自分に何かできることがあるならやっていきたい」とは梅野。憧れられる選手であり続けるために。14日には一緒にお立ち台へと上がった。そして誓う、そんな試合をこれからも作っていくことを。SSKのためにも、未来の“仲間”たちのためにも-。(デイリースポーツ・松井美里)

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