【芸能】北欧の「カメ止め」か…映画「ギルティ」ヒット要因は“本家”流戦略

 デンマーク発の映画「THE GUILTY/ギルティ」が“北欧の『カメ止め』”とも呼べる快進撃を見せ、評判を呼んでいる。2月22日に33館でスタートしたところ、東京・新宿武蔵野館の初日と初週の動員&興収記録を更新するなど、満席回が続出。1日の上映回数を増やす劇場も多く、最終的には全国100館程度への拡大が見込まれている。好調の理由を宣伝プロデューサーの鶴田菜生子氏に聞いた。

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 宣伝プランを立ち上げた昨秋は、ちょうど「カメラを止めるな!」が大ヒットした直後。2館でスタートしながら最終的に興収30億円を超えた「カメ止め」は、口コミの力やアイデアが面白ければスター俳優は必要ないことを改めて示した点で映画界の発掘だった。鶴田氏は「『カメ止め』のおかげで、無名の俳優しか出ていなくてもアイデア次第で面白い映画があるんだという風潮があった」と振り返る。

 「ギルティ」は、緊急通報司令室のオペレーターが、かかってきた電話音声だけを頼りに誘拐事件に挑む異色サスペンス。知名度のない俳優が主演し、特殊な舞台設定で展開されるアイデア映画であることが「カメ止め」に通じる。

 見た人がネタバレを自主規制し、評判にもかかわらず内容が謎のままであることも盛り上げに一役買った「カメ止め」。「ギルティ」の宣伝も先入観なく見てもらえるように舵を切り、ファントム・フィルム史上初めて、タイトルを伏せて人を集める試写会「スニークプレビュー」を実施した。

 結果、通常よりも応募数が多く、感想も上々。聴覚頼りの限定された状況のミステリーを、前情報のない状態で見てもらい「作品のコンセプトと宣伝を合わせたら、うまくいった」(鶴田氏)。

 口コミで評判が広がり「みんなは知らないが自分は知ってる面白い映画」というブランディングに成功。情報が氾濫する時代に、決してメジャーではないが、良質な映画を求める層の存在を実感したという。

 「音」がテーマのため、5日と13日にはソニーのながら聞きイヤホン「STH40」を使用した特殊上映も実施した。劇中の電話音声は耳元、それ以外は映画館の音響から聞こえるため、主人公と同じオペレーター気分が楽しめる企画だ。

 15日の東京・渋谷ヒューマントラストシネマでの特殊上映以降は未定だが、鶴田氏は「リクエストがあればまたやりたいと思っています」と意欲的。アクション大作映画は、通常上映以外にIMAXや4DXといった特殊上映を展開し、リピーターを増やしていく傾向があり、新たな上映スタイルとして定着するかも注目される。(デイリースポーツ・古宮正崇)

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