【競馬】3月で50歳の武豊はまだまだ健在

 ちょっと以前の話で恐縮だが、昨年11月に東京・新宿の紀伊國屋書店で武豊騎手(49)=栗東・フリー=がファンと交流するイベントを行った。同年9月29日に阪神競馬場で前人未到のJRA通算4000勝を達成したことを記念して、自身が年間イメージキャラクターを務める月刊「優駿」(中央競馬ピーアール・センター発行)の創刊900号記念を兼ねたイベントとして、抽選で選ばれたファン150人にサイン色紙と優駿12月号、さらに4000勝達成オリジナルTシャツ(非売品)を手渡しした。

 イベントの前には取材用にインタビューも設定された。アーモンドアイが完勝したジャパンCの翌日とあって記者の数はあまり多くなかったが、「何でも聞いてくださいよ」と第一人者らしい第一声で興味深い話がどんどん飛び出した。残念ながら紙面では20~30行ほどのごく限られた行数でしか伝えることができないので、この機会にできるだけカバーしておきたいと思う。

 まずは「優駿」との出会いについてだが、父がトップジョッキーの武邦彦さんとあって、4、5歳のころから読んでいたという。「毎月、家に送られてくるのをすごく楽しみにしていました。写真もきれいですしね」と当たり前のように話したが、よく考えれば小学生になる前から競馬雑誌を読んでいたというのはすごい。普通は漫画か絵本のはずだ。そして、自身が騎手としてデビューしてからは、取材を受けて“武豊騎手”の記事が掲載されるようになっていく。「何か不思議な感じがしました。あの『優駿』に自分が載るようになったんだな、と。ただ当時の記事を読み返すと、かなり生意気なことをしゃべっていますね」と笑わせた。

 1987年3月のデビューから、常に競馬界のトップシーンを彩ってきた。通算4000勝はあくまで通過点だが、JRA史上初の快挙を達成して改めて反響のすごさに驚いていた。「自分ではそんなに大きいこととは考えていなかったですけど、達成してみると思ってもみないくらい反響がありました」と振り返った。「やることはこれからも変わりません。もっともっと実力を付けて勝ち続けていきたい。次の目標は5000勝です」ときっぱり。

 3月15日には、いよいよ大台の50歳になる。「50歳になりますけど、すごくやる気に満ちていますよ」とまだまだ健在ぶりを誇示する気概をアピール。そして、その言葉通り、2019年の開幕週(1月5、6日)で、いきなり6勝をマークする大活躍を見せた。さらに20日の東海S(中京)ではインティ(牡5歳、栗東・野中)で逃げ切り勝ちを決めて、33年連続となるJRA重賞制覇を達成。熟練の手綱裁きでファンをうならせた。

 1月20日現在でJRA通算勝利は4026。しかも2位以下を1000勝以上も引き離しており、記録上では孤高の存在といっていい。それでも現役の騎手である以上は、歩みを止めるつもりは全くない。「凱旋門賞やブリーダーズカップはもちろん、まだまだ勝ちたいレースはたくさんあります。これからも『優駿』を通じて、競馬の魅力や面白さを皆さんに発信していけたらいいですね」と力強く語った。これからどんな名場面を見せてくれるのだろうか、ますます目が離せない。(デイリースポーツ・北島稔大)

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