【野球】日本ハム・大田泰示 実現なるか、憧れのカープとの日本シリーズ
野球を始めて間もない幼い頃、赤いユニホームにくぎ付けになった。俊足好打、強肩を生かした高い守備力。約20年前、広島市民球場の中にいたヒーローはいつの間にか夢になり、目標になった。「道具も全部マネをして、使われているメーカーの物で僕もやっていた」。広島県福山市出身。日本ハム・大田泰示外野手は、球団史上初のリーグ3連覇へと突き進む広島・緒方孝市監督に憧れていた。
左手第5中手骨骨折のリハビリ中、千葉・鎌ケ谷の2軍施設でそんな話になった。歴史的猛暑にさらされたプロ10年目の28歳は、全身丸焦げ。必死に、必死に元いた場所に戻ろうとしていた。今季は西武との開幕戦に「7番・左翼」で先発出場すると、4月の終盤から2番打者に定着。“新ビッグバン打線”の象徴として、必要不可欠な存在に成長した。
その要因の一つが、打席に入ってバットを構えたときの「がに股」にある。左足のつま先を投手方向に開き、膝を柔軟に動かしている姿が印象的だ。本人に聞けば「体が前にいってしまうことがあるので、それをしっかり止めるため」とのこと。今季から独自に始めた取り組みで、より軸足の右足に体重が乗るようになったという。
8月25日に1軍再昇格を果たし、ここまで7試合の出場で25打数9安打、打率・360、1打点。栗山監督が「A・ロッドになれ!」と期待する“恐怖の2番”は、逆転Vを狙うチームに力強い風を吹かせている。闘志を前面に出すプレースタイルも、欠かせない。
「自分のやるべきことをしっかりやって、それがチームにとってプラスαになれば一番いいと思う。チャンスで一本打てるように、あとは気持ちでしょ」
日本シリーズで広島を倒し、頂点に立った16年シーズンのオフに巨人から移籍してきた。今季、交流戦での広島戦は3試合で13打数6安打、打率・462、1本塁打、2打点。今度は日本一を懸けた大舞台で、カープを相手に戦う大田泰示の姿を見てみたい。緒方監督の目の前で、躍動してほしい。(デイリースポーツ・中野雄太)