【芸能】上方落語第2の拠点・喜楽館オープン…地元のにぎわい取り戻せるか

 兵庫県神戸市の繁華街・新開地に新たな演芸場「神戸新開地・喜楽館」が7月11日、オープンした。喜楽館は神戸松竹座跡地のはす向かいに位置し、大阪市の天満天神繁昌亭に続く、上方落語第2の定席となった。新開地はかつて演芸場や劇場で栄え、「東の浅草、西の新開地」と称されるほどにぎわっていた。喜楽館の開場で、かつての活気を取り戻せるか。

 新開地では1976年に演芸場「神戸松竹座」が閉館したのを最後に、常設の演芸場が消滅。喜楽館の開場で、約40年ぶりに常設の演芸場が戻ってきた。およそ4年前に、地元商店街のすし店の若大将・新将一郎さんが「新開地にかつてのにぎわいを取り戻したい」と手紙を出したことから、新開地での新演芸場構想が大きく動き出した。

 しかし、構想が浮かんでからも、集客を不安視する協会員からの慎重論が相次ぎ、資金難などいくつもの困難に直面。一時は暗礁に乗り上げたが、紆余(うよ)曲折を経て開場にこぎ着けた。

 そんな新劇場のオープンに地元も沸いている。喜楽館では、開演時間を繁昌亭よりも1時間遅い午後2時からとし、番組数も2本減らして8本にした。

 計画をけん引した落語家の桂きん枝は「商店街の振興のため、商店街でお昼を食べてもらえるように開演の時間を1時間ずらした。せやから(番組を)減らしたんです。現実的に午後1時からだと地元で昼飯食べれないですよ」と説明する。

 地元商店街では、喜楽館の来場者への割引キャンペーンなどを多くの店舗が実施。新さんも「これまで新開地に来なかった人にも来てほしい」と、新開地の活性化に期待している。

 オープンした11日から5日間行われた昼席のこけら落とし特別公演はチケットが完売、満席となった。その後も複数の公演が完売となったが、まだまだ余裕のある日も多いという。

 関係者は「繁昌亭は、(戦後初の上方の定席のため)もの珍しさもあり、開場から3年間大入り満員だった。今度は“二匹目のどじょう”ですからね。その辺の心配もあります」と明かす。喜楽館を運営する地元NPO理事長で、同演芸場の高四代館長も「できて終わりではない。これからが重要。多くの人に生の笑いを楽しんでほしい」と気を引き締めた。

 地元振興を大きな柱とした演芸場がついに開場した。座席数は繁昌亭と大きく変わらないが、喜楽館の方が高座と客席が近い印象がある。洋風の作りも、館内も特徴的だ。高館長も「商店街の重たいシャッターが軽くなるように頑張りたい」と意気込んでいる。

 地元住民からは「新開地にとって最後のチャンス」との声も上がっている。大きな期待を背負って船出した喜楽館。今後の行方が楽しみだ。(デイリースポーツ・石井剣太郎)

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