【野球】投手にも即座のフォロー…ヤクルト引っ張る青木のリーダーシップ

 交流戦で初の最高勝率に輝いたヤクルトが“混セ”を演出している。投打がかみ合った快進撃に欠かせない存在が、今季7年ぶりにメジャーから復帰した青木宣親外野手(36)。プレーはもちろん、チームリーダーとして果たす役割は大きい。野手、投手のポジションの違いに関係なく目を配る視野の広さも、重要な“戦力”となっていると感じる。

 練習中のグラウンド。ふと気になることがあった。外野で調整する投手陣の傍ら、飛んでくるフリー打撃の打球を追って体を動かす青木が、石井弘寿投手コーチと話し込む場面を何度か目撃したからだ。外野手と投手コーチの組み合わせは、新鮮に映った。

 「現役の時から仲がよかったからね」と石井コーチ。後輩の青木になつかれて頻繁に食事にも行き、グラウンドでは一番遠い場所でプレーしてもポジションの垣根はなかったという。立場が変わった今でも、投手目線で感じる打撃フォームの違いを尋ねられたり、逆に外野から見た投手の印象など、気兼ねなく意見を交わす。

 野手、投手の違いをひょいと越えてコミュニケーションを取る姿勢が見えたのは、15日の日本ハム戦だった。ビハインドの八回途中に登板した村中が、制球が定まらず押し出し四球を連発。点差が広がり、試合は決まった。青木が動いたのは、ベンチに戻った直後だった。村中の横に座ると、肩に手をやりながら真剣な表情で何かを説いていた。

 「自信を持つことが大事。『大丈夫だと思うんだ』と言った。自信を失うと良くならないからね」。迷惑をかけましたと謝る後輩に、そんな声をかけたという。村中も「状況が状況だったので…ありがたかったです」と感謝の言葉を口にした。

 経験も実績も豊富なベテランなら当然の行動-そんな見方もあるだろうが、石井投手コーチは「なかなかやれることじゃない。普通は『早くストライク取れよ』ってなると思う」と首を横に振った。そして「コーチだけでなく、選手間の方がサッと心に刺さることがある。アイツはよく目を配ってくれていて、周りが見えている。村中も救われたと思うよ」と即座のフォローを称賛していた。

 3年10億円の大型契約は純粋にプレーに対する期待だったが、球団幹部も「それ以外のプラスαが非常に大きくありがたい」と話していた。交流戦は6戦連続安打でフィニッシュした青木。バットはもちろん、そのリーダーシップで、再開したリーグ戦でもチームをけん引していく。(デイリースポーツ・藤田昌央)

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