【野球】元ソフトバンク・近田 JR西日本社員&京大コーチ“二足のわらじ”に挑戦中

 関西学生野球リーグの京大で、2017年1月から臨時コーチを務めている元ソフトバンク・近田怜王氏(27)が、今春から正式なコーチとなり、23日の同大戦で就任後初めてベンチ入りした。高校時代に甲子園を沸かせた左腕が、背番号53のユニホームに袖を通し、再びグラウンドに帰ってきた。

 1勝1敗で迎えた同大との3回戦。八回のピンチではマウンドに向かい、バッテリーと内野に細かい指示を送った。サポートは実らずに逆転負け。2014年以来の勝ち点奪取には導けなかったが、粘った教え子の活躍に目を細めた。

 「負けたことは悔しいですが、またユニホームを着られるのは新鮮でしたし、ありがたかったですね」

 近田コーチは報徳学園(兵庫)で、1年時から注目を浴びた。2006年の秋季近畿大会決勝は、1学年上の中田翔(日本ハム)を擁する大阪桐蔭に1失点で完投勝利。3年だった08年夏は甲子園8強進出に貢献。同年ドラフト3位でソフトバンクに入団した。

 4年目の2012年に戦力外通告を受けた後は、JR西日本でプレー。2015年に現役を引退した。入社後に学生野球資格を回復していたため、京大野球部OBだったJR西日本の上司から誘いを受けて、2017年1月に京大の臨時コーチに就任した。

 現在もJR西日本の社員としてJR三ノ宮駅で業務を行いながら、休日を利用して週2回のペースで京大の指導にあたる。「指導させてもらえるだけで、ありがたいですね。選手に意見をもらいながら、それに応えるスタイルでやっています」。将来は高校野球の指導者になることを目標に掲げ、“二足のわらじ”に挑戦している。

 京大では昨秋のリーグ終了後から、重要な役割を任されるようになった。それまでのバッテリー指導だけではなく、練習メニューを作成し、打者の指導も行うようになった。

 名門・報徳学園やプロでの経験を生かし、勝つために必要なメンタルや技術はもちろん、人として必要なことも伝えている。

 「京大の選手は、納得するように伝えられれば、すごく吸収が速い。(成長は)指導者しだいなのかなと思いますし、体を動かすことにつなげられればと思います。技術だけではなく、高校時代に(報徳学園の前監督)永田先生から教わったように、社会人として必要なことも教えていきたいですね」

 ただ、学生の指導はまだ2年目。「プレッシャーを感じています」と苦笑いも見せたが、貪欲な選手の姿に自身も刺激を受けている。

 指導の成果は着実に結果へとつながっている。京大は昨年、勝ち点は逃したが春2勝、秋3勝を挙げている。今季は残り3節。元ロッテ・田中英祐がエースだった2014年秋以来7季ぶりの勝ち点奪取は、決して夢ではない。(デイリースポーツ・西岡 誠)

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