【野球】初開催の「センバツ・キッズフェスタ」野球人口増加の一助に

 第90回記念選抜高校野球大会は4日、大阪桐蔭の史上3校目となる春連覇で幕を閉じた。総入場者数は54万人に上り、平成以降では最多となるなど大盛況だった今大会。その開幕前、3月18日の出場校による甲子園練習後に行われた「センバツ・キッズフェスタ」も“本家”に負けないほどの盛り上がりを見せた。

 高校野球界のレジェンドたちが一堂に集結した。90回を迎えたセンバツの記念事業として、百戦錬磨の指揮官たちが全国から集まった小学生の男女90人に野球の魅力を伝える初の試み。横浜(神奈川)元監督・渡辺元智氏や星稜(石川)元監督・山下智茂氏ら第一線を退いた名将から帝京(東京)・前田三夫監督、早実(東京)・和泉実監督ら現役指導者まで23人がそろった。そのうち11人が甲子園優勝の経験がある豪華布陣だ。

 グラウンドは笑顔でいっぱいだった。参加した子どもたちはティーボールとストラックアウトなどに熱中。元気いっぱいにバットを振り、ボールを投げた。「けがなく子どもたちの生き生きとした表情が見られた」と日本高野連の竹中雅彦事務局長。指導者たちにも笑顔は“伝染”し、普段は見せないような柔和な表情で野球の楽しさを知ってもらおうと尽力。拓大紅陵(千葉)元監督の小枝守氏は「自分らの小さいときにこういうのがあったらな」と、しみじみと口にした。

 聖地を逃した高校球児にとっても特別な企画となった。協力校として21世紀枠推薦校の法隆寺国際(奈良)など4校の選手が参加。子どもたちと昼食を一緒にとるなど1日ともに行動し、雰囲気作りに貢献した。プレーしたわけではないが、選手らは憧れの舞台に興奮。星林(和歌山)の佐藤駿主将(3年)は「すごいありがたいことだと思いました」と、ほおをゆるませた。竹中事務局長も「選手のモチベーションになってくれたら」と高校球児への効果にも期待する。

 開催の経緯には野球人口の減少を防ぐ狙いがある。「ものすごい危機感を持っています」と竹中事務局長。参加対象の小学生は野球未経験者を優先した。おみやげにはティーボール用のバットとボール。この企画をきっかけに野球を続けてもらえればという願いが込められている。

 子どもたち、指導者、高校球児と参加した誰もが満足げな表情でグラウンドを後にした。竹中事務局長は「1つのモデルケースになれば」と各都道府県でも同様の取り組みが広まることを望む。競技の未来のために高校野球界も力を尽くしている。(デイリースポーツ・佐藤敬久)

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