【野球】恩師が明かす阪神・ロサリオが日本で成功するためのカギとは

 阪神の新助っ人、ウィリン・ロサリオ内野手(前韓国ハンファ・イーグルス)の評判が上々だ。キャンプ序盤の打撃練習で特大の柵越えを放って周囲の度肝を抜くと、実戦が始まっても打つわ、打つわ。これでもかというほど高かった前評判以上の評価を、今のところは得ている。

 もちろんこの時期は対戦相手も新戦力の実力を見極める段階。内角への厳しい球、外角への鋭い変化球などの揺さぶりはあまりかけてこない。時には打たせることで強いコースを探ることもある。しかし、単に打たされているだけでもなさそうだ。

 「インコースの打ち方もうまいよ」

 そう証言するのは、かつて広島、近鉄、阪神、オリックスでコーチを務めた正田耕三氏。現在は韓国のKIAタイガースで打撃コーチを務めている。2016年にハンファで2軍コーチを務めていたとき、ロサリオと出会った。そのとき、助っ人としては崖っぷちの状態だったという。1軍で結果が出ず、コーチの指導にもうまくフィットできていなかった。そこで2軍にいた正田氏に“専属コーチ”としての白羽の矢が立ったというわけだ。

 正田氏はまずスイング軌道を修正。これがロサリオの心を捉えた。異国の地で、自身が目指すべき打撃を理解し、その道筋を示してくれた日本人コーチとの出会い。ロサリオは全幅の信頼を寄せ、正田氏が言う通りに練習に取り組んだ。

 体の開きが早く、外角の変化球についていけなかった。正田氏は下半身の動きを止めるように伝えた。「下を止めれば肩は開かない」。それを体に染み込ませるため、椅子に座らせてティー打撃に取り組ませた。

 椅子やバランスボールに座りながら打つ。そうすれば下半身は固定され、自然と体の開きは抑えられる。ロサリオはその後、遠征にも椅子を持ち歩き、この練習を続けた。この年、127試合に出場し、打率・321、33本塁打、120打点。17年は119試合で打率・339、37本塁打、111打点。安定した打撃フォームを身につけたことで、抜群の結果を残した。

 3月に入るとオープン戦が本格化する。順調に調整が進めば、開幕は4番で迎えることになる。正田氏は「開幕当初からそこそこは打つと思う。でも、打てない時期は必ず来る。そんな簡単に打てるほど甘い世界じゃないからね」と指摘する。ただ「そのうち打ち始めるよ」と続けた。

 「ロサリオの一番の良さは賢さ。自分が抑えられた攻め方を覚えていて、一つ一つインプットしていく。同じやられ方はしない。伸びしろがある選手」

 その伸びしろをいかにして発揮させるかが、日本での成功のカギとなる。ではどうすべきか。正田氏は「周囲がロサリオを外国人選手と思わないこと」を、そのカギとして挙げた。

 「(29歳の)ロサリオはまだ若い。日本の若手選手と同じように特守、特打もどんどんさせたほうがいい。絶対にノーと言わない選手やから。そうすればまだまだ伸びる」

 マンツーマン指導で今のロサリオの打撃の礎を築いた恩師の言葉。広島時代にチームメートだった金本監督率いる阪神での活躍に願いを込め、メッセージを送った。(デイリースポーツ・岩田卓士)

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