【スポーツ】比嘉&具志堅会長 59年ぶり屋外球場世界戦を実現できるか?

 南国でビッグイベントは実現するだろうか。4日に沖縄県立武道館で行われたボクシングのWBC世界フライ級タイトルマッチは、沖縄で37年ぶり4度目の世界戦だっただけでなく、地元出身の王者・比嘉大吾(22)=白井・具志堅スポーツ=がわずか1回2分32秒で日本記録に並ぶ15連続KO勝利を収めて2度目の防衛に成功し、大いに盛り上がった。

 元WBA世界ライトフライ級王者で白井・具志堅スポーツ会長の具志堅用高氏(62)は、37年前に敗れた自身の雪辱を果たした弟子に、沖縄での次なるビッグプランをぶち上げた。今回の会場だった沖縄県立武道館に隣接する野球場、沖縄セルラースタジアム那覇での世界戦だ。

 日本での野球場での世界戦といえば1988年と90年に東京ドームで戦ったマイク・タイソン、99年に京セラドーム大阪で戦った辰吉丈一郎の例があるが、ともに屋内。屋外では60年8月に後楽園球場で高山一夫が戦って以来、野球場以外の屋外では71年に柴田国明が松山県営ラグビー場で戦った例などがあるが、来年に実現すれば実に59年ぶりとなる。だが、現在は世界戦でも収容1万人以下の会場での開催がほとんど。万単位の集客が求められ、天候の不安もある屋外球場で開催は可能なのだろうか。

 まず集客を考えてみよう。セルラースタジアム那覇は約3万人収容。ボクシングの興行となると、グラウンドにも客席が置かれ、その数はさらに増えると思われる。今回の舞台、沖縄県立武道館の収容人員は約3000人だったが、沖縄から久々に生まれたニューヒーローの凱旋とあって、発売前から問い合わせが殺到し、入場券は約10分で完売。入場できなかったファンも多く、具志堅会長が「2万人でも満員になっていましたよ」と残念がるほどだった。今回の勝利で比嘉はさらに知名度を上げており、万単位の集客は十分可能だろう。

 心配なのは天候だ。温暖な沖縄は年によってばらつきがあるが、降水量が全国で上位に入ることが多い。さらに「台風の通り道」とも呼ばれる。日本ボクシングコミッションによると、「選手とオフィシャルに雨がかからないよう、リング上に屋根を設置すればいい。以前にはパチンコ店の駐車場や神社の境内で行った例もある」と、屋外の興行も問題ないとのことだが、屋根を設置しても、強風や横殴りの雨が降ったりすれば、リング上の戦いに影響が出ないとも限らない。ファンも雨の中での観戦は避けたいだろう。

 具志堅会長は「6月終わりの1週間は雨が降らない」と、開催時期の候補を挙げた。その言葉通り、沖縄は平年では6月23日に梅雨明けし、晴れる日が多くなるという。それでも沖縄気象台のデータによると、雨天の出現率は20%前後あり、不安は残る。だが、6月30日だけは雨天の出現率が1年で最も低い6・7%、つまり93・3%は雨が降らない特異日となっているのだ。

 さらに、19年の6月30日は今回と同じ日曜日。まさに絶好のチャンスといえるのだが、困難な問題にぶつかる。例年6月下旬に開幕する高校野球の沖縄大会だ。セルラースタジアム那覇は主会場となっており、試合は週末に開催されるため、6月30日に使用するのは不可能といえる。

 別の日はどうか。1月9日も同じく雨天出現率が6・7%と1年で最も低い。この日の前後1週間の雨天出現率がほとんど30~50%と高いのと、肌寒い時期というのが気がかりだが、考える余地があるのではないだろうか。

 ここまで机上の空論を並べたが、結局のところ、実現するかどうかは主催者の判断次第。そして、最も重要なことは比嘉大吾が王者であり続けることだ。歴史的な日が来ることを信じて待ちたい。(デイリースポーツ・洪 経人)

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