【芸能】星野氏「先の時間は決まっている」 昨夏、たけしとの対談後に明かした言葉

 元中日、阪神、楽天で監督を務めた“闘将”星野仙一氏が4日、すい臓がんのため亡くなった。70歳だった。昨年8月にテレビ番組で対談したビートたけし(70)は6日、TBS系「新・情報7days ニュースキャスター」で星野氏との秘話を明かし、「一度、星野さんに惚れたら、ついていこうと思うよね」としみじみと語った。誕生日は4日違いの同じ1947年生まれ。訃報に接し、昨夏の収録時、明治大学の同期生であるたけしと交わしたある言葉がずっしりと重みをもって胸に迫ってきた。

 2人は昨年9月に放送されたフジテレビ系「ボクらの時代」で共演した。収録は昨年8月16日。町並みを一望できる東京・明治大学駿河台キャンパスの岸本辰雄ホールに星野氏は居た。収録前からリラックスした様子でスタッフと談笑。本番では、たけしと、元ラグビー日本代表でタレントの松尾雄治(63)と、明大OBによる鼎談(ていだん)を繰り広げた。学生時代、当時の明大野球部監督で恩師だった島岡吉郎さんとの思い出、プロ野球監督時代の話などを楽しげに語った。

 収録を終えると、星野氏は「この歳(とし)になるとね、思い出が一番、美しいのよ。先の時間は決まっているからね。短いから。2人に会えるのは楽しみだった。声をかけてくれてうれしかった」と笑顔で語り、たけしも「俺は野球とかスポーツ選手になれなかったけど一番憧れていたジャンル。そのスーパースターを相手にしゃべれるってことは『俺、芸人になってよかったな』と思うね」。両者が敬意を示しながら楽しげに会話をしていた。

 星野氏は16年7月に急性すい炎を発症したことをきっかけに、すい臓癌であることが判明。収録が行われた昨年8月時点は、闘病中だったことになる。

 ただ、たけしが「すごい元気だった」と振り返るように、病魔と闘っていることは感じさせないほど星野氏は明るく元気一杯だった。もちろん会話の中に、自身の闘病の話は一切出なかった。星野氏が、たけし(北野武)が監督した映画「龍三と七人の子分たち」に「なんで俺を入れてくれなかった!」と声高に主張すれば、たけしは「星野さんは元気過ぎるもんね」と掛け合うなど、終始、星野氏の笑顔が印象に残る現場だった。

 星野氏の「先の時間は決まっている」という言葉は、当時、「自分も歳をとったよ」というニュアンスにしか聞こえなかった。“燃える男”として走り続けた自身が、将来よりも過去を懐かしむようになったことを自嘲気味に語る冗談と周囲も受け止めていたからだ。

 星野氏が当時、どのような思いで語ったのかは、わからない。ただ、闘病中であることをひた隠してきたことが明らかになった今、冗談の中に本音も含ませていたらと思うと胸に迫るものがあった。(デイリースポーツ・上野明彦)

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