【野球】楽天待望の生え抜き和製大砲獲得 これまで長距離打者を指名しなかったワケ

 楽天のドラフト2位・岩見雅紀外野手(23)=慶大=が、19日に入団交渉に臨み、契約合意した。楽天にとっては、待望の生え抜き和製大砲となる。

 今秋のドラフト戦略のテーマのひとつは、日本人長距離打者の補強だった。あるスカウトは言う。「今年はどうしても『和製大砲』が欲しかった」。実際、競合の結果くじで外したものの、1位では早実・清宮を指名した。2位で東京六大学が生んだ即戦力スラッガーを獲得できたことは、現時点で戦略的には成功といえる。

 今季、ペゲーロ、ウィーラー、アマダーといった外国人の活躍が、チーム成績の浮沈を握っていたといっても過言ではなかった。もちろん、優良助っ人の存在は常勝チームのひとつの条件ではあるが、日本人選手の長距離打者の必要性が、改めて浮き彫りとなった。05年から11年まで在籍した山崎武司が07年に本塁打王を獲得するなど7年間で計191本塁打を放ったが、生え抜き選手でいうと、シーズン2桁本塁打到達は昨季まで皆無。今季、茂木が17本塁打、島内が14本塁打を放ち、球団創設以来初めて、生え抜きの日本人選手が2桁本塁打をマークした。

 この背景にあるものとは-。05年に新規球団としてプロ野球に参入した楽天は、一から戦力を整え、チームをつくりあげる必要があった。前出のスカウトは「まずは守れて走れる選手を獲ってきた」と話す。チームづくりの基礎として、まず投手を補強し、野手に関しては、守れる選手の獲得を優先することで下地を固めてきた。長打力は外国人で補えるからだ。その系譜は一昨年のドラフト1位・オコエにみられるように、近年も続いていた。

 外国人頼みの打線から、自前の大砲を育てる-。球団創設から12年が経ち、チーム編成でも新たな転換期を迎えたということが言える。助っ人に匹敵する長打力を誇る岩見は、外国人たちと出場を争うことになる。球団関係者は「日本選手の岩見が活躍できれば、外国人投手を1人補強することができる。そういう意味でも、彼はある意味、チームのキーマンなんです」と話した。

 東京六大学リーグ歴代3位の通算21本塁打を記録した岩見。同リーグの通算本塁打歴代5傑の顔触れを見ると、1位・高橋由伸(慶大)、2位・田淵幸一(法大)、4位・岡田彰布(早大)と、そうそうたる面々が並ぶだけに、この記録はプロでも通用する指標となり得るだろう。球団初の生え抜き和製大砲が、今後の楽天の新たな境地を切り開く。(デイリースポーツ・福岡香奈)

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