【芸能】演技派・大西礼芳、天国の“おじいちゃん”へささげる女優魂

 優等生役、悪女役が印象的な大西礼芳(27)が、新境地を開いた。「菊とギロチン-女相撲とアナキスト-」(2018年夏公開予定、瀬々敬久監督)で前頭の女力士役に挑戦。撮影前の1カ月で5キロの増量に成功し、食トレや筋トレに励んだ日々を振り返った。

 まずは日大の相撲部に“入門”。「撮影前に練習させてもらいに行って、肩の筋肉の形とか変わりました」。相撲部屋では体を柔らかくするためにヨガや、四股踏みにも毎日取り組んだという。

 練習が終わるとキャストで会食。「体を動かすとお米もお肉もすごい欲する。たくさん食べて、合間にはドーナツを食べて、自然と増えていったかな」。笑顔で振り返ったが細身の体形を考えると、5キロの増量は至難の業だったように思う。

 一般的にスポーツの世界では、減量より増量の方が難しいとされている。大西も女力士からその苦労を学んだという。「日大の相撲部に所属する女の子たちは体を大きくするために、練習以外の時はずっと何かを食べているって言ってた」。“本物”を身近に感じたからこそ、役作りにも本気でぶつかった。

 三重県の田舎町に生まれ、自身の強い決意と強力な助っ人に支えられ、2009年に京都造形芸術大学の映画学科俳優コースに入学。当時、両親は芸大進学を反対していたが「おじいちゃんがずっと応援してくれていた。オープンキャンパスとか、試験も2日間ついて来てくれて。支えがなかったら一人で戦うしかなかった」。

 大西は在学中から映画学科自主製作の映画に主演するなど、その才能を発揮。その後も映画のみならずドラマ、CMと活躍の場を広げていった。

 ファン第1号のおじいちゃんも喜んだことだろう。だが「おじいちゃんは私が大学在学中に認知症になってしまって」。近頃の活躍を見ることもなく、3年前に他界。「私がぼちぼち活動し出した時には多分、あまり理解していなかったと思う。頭がはっきりしていたら、宣伝部長になってたやろうなあ…」。

 昔を懐かしむその言葉から、おじいちゃんと過ごした日々がそれほど良い思い出なのだろうと、少しほほ笑ましさを感じさせた。活躍こそが恩返し。天国から見守るおじいちゃんのため、今は応援してくれている両親のため、自身が選んだ道を、強い覚悟を持って歩み続ける。(デイリースポーツ・疋田有佳里)

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