大西礼芳「人を呼べる役者に」 「真田丸」「ナラタージュ」…話題作に次々出演
不思議な魅力を放つ女優・大西礼芳(あやか=27)がめきめきと頭角を現している。2011年にデビュー。昨年はNHK大河ドラマ「真田丸」に出演、17年も次々と話題作に起用された。長瀬智也主演の7月期ドラマ「ごめん、愛してる」では自由奔放なサックス奏者を演じ、「あの子は誰?」と世間の注目を浴びるようになった。存在感を発揮する演技派女優の原点に迫った。
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公開中の映画「ナラタージュ」でヒロイン・有村架純の親友役を熱演、初日舞台あいさつに松本潤らキャスト、行定勲監督と登壇した。名だたる俳優陣に比べ、どこか初々しさを感じさせる姿があった。
どんな瞬間でも、一つ一つの言葉を大事に紡ぎ出す。インタビューでもその姿勢は変わらなかった。「話し慣れすぎないでおこうってずっと思ってるかも。実感をちゃんと言葉にしたいし、うまい言葉を使って逃れたくないというか」。自分の思いをしっかり伝えたい-。キリッとした瞳の奥には強い信念があった。
元々は映画の美術志望。俳優を志したのは京都造形芸術大学1回生の時だ。同学科のプロジェクト映画「MADE IN JAPAN~こらッ!~」で演技未経験ながら、主演を務めたことがきっかけだった。
配給・宣伝も学生たちで行い「映画を観てもらうのは難しい」と運営側の苦労を学んだ。「悔しくて、このまま終わりたくなくて。だから劇場に人を呼べる役者にならなあかんって思った」
山と畑に囲まれた田舎町で育ち、幼い頃から物作りや描画、秘密基地作りにいそしんだ。「外に洗濯機があってそれに絵を描いたり。外にあるからええんちゃうって(笑)」。この自由奔放さが、今の役者人生に生きている。
自分が決めたことは最後まで貫き通す。芸大進学を反対していた両親に対し「勉強していい大学入って、それが何になるんやろうって。絶対に自分の道を選ぶ。言うこと聞かへんって思ってた」と当時の葛藤を振り返る。その決意に両親も心動かされ、大西の作品には必ず目を通すという。陰ながら応援してくれることに「その距離感が有り難い」と感謝した。
悪女から才女の役まで幅広い演技をこなす彼女の憧れは「志村けん」。「いつか共演したい」と一段と目を輝かせていた。