【野球】目覚めた怪物、日本ハム・大田泰示“2年目”への思い

 打球が左翼後方の防球ネットを、軽々と超えていく。10月27日、日本ハムの秋季練習が行われている鎌ケ谷市の2軍施設。規格外のパワーを発揮していたのは、大田泰示外野手だった。フリー打撃後に居残りでランチ特打を行い、さらにバットを手に室内練習場へ。その姿から、来季への思いが伝わってきた。

 この日はドラフト会議の翌日。日本ハムはドラフト1位で早実・清宮(3年)の交渉権を獲得し、早くも大フィーバーが起こっていた。かつて大田も鳴り物入りで巨人に入団し、一躍注目の的になった選手のひとり。「いやいや、清宮の方がすごいですよ」と笑って振り返るが、プロ入りから計り知れない重圧と戦ってきた。

 その大田は移籍1年目の今季、自己最多の15本塁打をマーク。9年目で初めて規定打席に到達した。それでも、満足感に浸ることはなく「今年の良かったイメージを忘れずにやっていきたいと思って」と、バットを振り込んでいる。

 「今年一番良かったのは、逆方向のバッティングだと思っています。どの方向でも、自信を持って飛ばせるようになりましたね。何打席も立たせてもらい、ボールを長く見ることで、強引にならず素直にバットが出せるようになったからだと思います。センターから逆方向には、出合い頭では飛ばないので。逆方向の打撃は、自分のバロメーターになると思っています」。

 大田にとって、自信を深めた2発がある。5月12日にロッテ・涌井から打った2号ソロと、6月11日に巨人・吉川光から放った8号ソロ。いずれも右方向へ飛距離を伸ばす、圧巻の打球だった。

 巨人時代は必死に結果を求めるあまり、いつしか本来の打撃を見失っていた。当時、東海大相模の門馬監督は「泰示の良さは逆方向への打撃なんだよ。今は、それが消えてしまっているんだよな」と、漏らしていた。埋もれかけていた大器は、ぎりぎりのところで輝きを取り戻した。

 すでに、大田の視線は来季に向いている。「バッティングは無駄を省いてシンプルにして、もっと長打率を上げられるようにしたい。あとは、体の正しい使い方ですね。トレーナーの方に相談して体のメカニズムを理解しながら、けがをしない体作りをしようと思っています」。今季はけがもあって118試合の出場にとどまったが、フルシーズン戦い抜くことが目標だ。

 苦悩に満ちた巨人時代とは完全に決別。移籍2年目、さらに進化した姿を見せてくれるに違いない。(デイリースポーツ・佐藤啓)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

オピニオンD最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス