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【野球】雨中のクライマックスシリーズ…浮き彫りになった問題点

二塁打を放ち、泥を跳ね上げながら滑り込む阪神・大山
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 シーズン2位と躍進した阪神は、CSファーストS・DeNA戦に敗れ、今季の全日程を終えた。18日に行われたオーナー報告後、金本監督が会見。リーグ優勝を達成できなかった悔しさと同時に、逆転日本一の夢がついえた無念さを語った。

 「悔しいですね、勝てなかったので。なんとしてでも日本シリーズに、というのはあったのでね。悔しさでいっぱいです」

 「めちゃくちゃ悔しいです。腹もたちますし。昨日からムカムカして、腹立たしい。情けなさもありますし、自分の力のなさと言うか、それを痛感しています」

 指揮官が振り返ったのは第2、3戦の連敗。潔く力不足を認めていたが、周囲からすれば消化不良な側面も残る。第1戦はエース・メッセンジャーを擁して先勝。問題の2戦目を迎えた。試合開始前から断続的に降る雨の影響で、グラウンドには水たまりができるほど。イニングごとに速乾性のある砂を、マウンドと打席に入れるなど懸命の整備を行った。

 それでも中盤以降は選手が全力疾走ができないほどの状態。同点で迎えた七回、先頭・梶谷の内野安打は、水たまりでゴロが止まったものだった。ここから7安打、6失点での敗戦。故障の危険性をはらんだ中でのプレーを強いられた。NPBの杵渕和秀セ・リーグ統括は、雨の降り続く中での強行開催について、苦渋の決断だったことを明かした。

 「CSという性質を考えて判断した。できるだけ試合を行うことが最優先。ファンとチームに大変な苦労をかけたというのはある」

 試合開催の判断は阪神球団ではなく、連盟に委ねられている。試合中は審判団の判断となる。責任審判の笠原一塁塁審は「試合ができるからやった。それだけです」と話した。例えばこの試合、中断を判断する場面はいくらでもあったように思う。試合前から天候回復は見込めない状況。試合開始は1時間3分も遅れた。ノーゲームなら翌16日に順延。五回終了時なら3-4でDeNAの勝利だった。六回なら4-4で引き分けだ。

 審判団の判断による是非を問うつもりはない。ただ、ここには日程上の問題が存在する。14日に開催したCSファーストSは、2勝先取でファイナルSに進むシステム。ファイナルSは18日が初戦になっていた。1勝1敗で3試合が行われると、予備日はわずか1日しかない。仮に雨天中止が2日続けば17日にDeNAが勝利しても、1勝1敗でシーズン2位の阪神がファイナルSに進んでいた。

 球団関係者も苦しい胸の内を明かす。「文句も言わず、ケガもなくね。最後まで戦った選手を褒めてほしい。ただ、このタイトな日程には疑問が残る」。実際、16日以降の天気予報も雨が続いていただけに、15日は是が非でも開催したい思惑もあっただろう。同戦の試合後、「中止で次のステージ進出というよりも試合をやって」と杵渕統括も話していた。幸い試合は無事に消化したが、あの一戦でケガ人が出れば、その責任の所在はどこに向かったのだろうか。

 ファンの無念さに拍車を掛けたのが、18日のファイナルS第1戦だった。五回、広島が3点を奪ってこの回が終了。グラウンド整備に入ると雨脚が強くなって中断した。一時、シートがはがされ、マウンドなどに新しい土が入れられるなどしたが、6人の審判が協議した結果、36分の中断後に試合続行は不可能と判断された。

 CS史上初の五回降雨コールド。責任審判の佐々木球審は「今後の予報や天気(の回復)が見込めない。総合的に決めました」と理由を説明した。

 雨脚の強さや、グラウンド状態だけを考えれば、15日の方がよほどひどかった。同球審は「もちろん、やりきるつもりはあった。グラウンドキーパーには最善を尽くしてもらいました」とし、15日との比較については「それはそれです。今日は広島なので関係ないです」と続けた。当然、ルール上は問題のない判断。ただ、明確な基準が存在しないのも事実だ。

 セ・リーグでは2007年から、クライマックスシリーズが開催した。ファンにも認知され、大リーグ同様に、ポストシーズンの戦いも白熱したものになっている。開催11年目で浮き彫りになった問題点。別の関係者は言う。「このオフに、選手会がしっかり問題を提起してほしい」。

 日程的な余裕を設けるのか、ドーム球場に場所を移しての開催か…。選択肢は1つではない。選手、そしてファンが求めるのは安全で、誰もが納得する形での決着だ。杵渕統括も「(来季以降に向けて)話があれば、検討の余地はあるかと思います」と話している。(デイリースポーツ・田中政行)

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