【芸能】インディーズの大物・スカートがメジャーデビュー【下】どこまでも行けそうな予感

 ポップミュージックを知り尽くしたソングライティングと陰影ある歌詞、独特の歌唱がインディーズシーンで人気を博してきた澤部渡(29)のソロプロジェクト(公式サイトでは「不健康ポップバンド」)「スカート」が18日、アルバム「20/20」でポニーキャニオンからメジャーデビューを飾る。インディーズ時代からメジャー級の存在感を発揮し、ついにメジャーシーンに姿を現す大物・スカートの単独インタビュー、その完結編をお送りする。

  ◇  ◇

 -新作と同名のアルバムを、ビーチ・ボーイズが1969年に発表していますね。

 「ビーチ・ボーイズもそうなんですけど、イルリメさんというラッパーの方が本名(鴨田潤)で『てんてんこまちが瞬かん速』(2012年)っていう小説を書いていて、ビーチ・ボーイズの『20/20』がすごく象徴的に出てくるシーンがあるんですよ。その本で初めて20/20がアメリカの視力検査の単位で、正常な視力(1・0)という意味合いで、転じてよく見えているとかそういう意味だってのを知って。ちょうどアルバムを作っている時に、核になるような、まさに『視界良好』っていう曲があるんですけど、それができた時に『あ、これはきっとこのことだ』と思って、アルバムのタイトルにしました」

 -アルバムのコンセプトはありましたか。

 「コンセプトはまるでないです。僕はわりと、アルバムを作る時にコンセプトとか考えないのが好きなんですよ。コンセプトアルバムよりも、色んな音楽が雑多に入っているアルバムっていうのがけっこう好きで。今回もそういうのを作った感じですかね」

 -制作という面で、メジャーに来て変化はありましたか。

 「わりと、今までと同じような感じでやれましたね。より良くしていくということだけに集中して作業ができたというか。(条件面では)例えば、いいスタジオを使えるようになったとか。昔、自分が聴いていいなと思っていた音のスタジオ、青葉台スタジオっていうところだったりするんですけど、そういうところを使わせてもらったりとか、こういう環境じゃないとできないことだなと思いました」

 -メジャーということで、聴きやすさやわかりやすさについて考えましたか。

 「そういうところはメジャーデビューだからって考えたことは全くなくて。あくまでも今まで自分が作ってきたことの積み重ねの、さらにもう1個上という感じですかね。しっかり積み重ねたという感じです。丁寧に丁寧に積み上げてきた石の上にまた一つ、そっと置いた感じです」

 -「20/20」とはこんな作品だと説明するとすれば。

 「難しいなあ…。自分がこういうつもりで作ったみたいなことだったら言えるんですけど…全然(答えを)用意してなかった。今のスカートはこういうムードだっていうのがよく出てる、ホントに今までで一番よく出ているアルバムだと思うんですよ。あ、こういう感じなんだっていう。『視界良好』っていう曲の歌詞の冒頭は『どこまでも行けそうな気がするよ』なんですけど、そういうムード、そういう予感を歌ってるんだなあと。

 アルバム全体を通して言えば、明るいだけじゃなくて、うらさみしい、今までのスカート通りのものもあるんですけど、どこかでやっぱり、『CALL』と『静かな夜がいい』のリリース(いずれも2016年。後者はシングル)を経て、突き抜けた部分が、より出ているんじゃないかなと思っています。違うところというか、『CALL』と『静かな夜がいい』を続けたその先という感じですかね。その意味でも視界良好、20/20っていうところですかね。今回で初めてスカートっていう存在を知る人も多いと思うんですけど、あまり気を張らずに聴いてもらえれば楽しめるんじゃないかと。構えないで聴いていただければ楽しめるアルバムだと思います」

 -音楽好きや専門家、つまりコアな部分は既にスカートの味方になっているように思います。メジャーデビューで一般層への広がりが期待されます。

 「単純にメジャーデビューっていうのは、まさかって。難しいんですよね。極端に僕も音楽が好きなんで、そういう方(音楽好きや専門家)が聞いてくれてるのも本当にうれしいんですけど、いわゆる一般層っていうのがどこにいるのかも僕にはわからなくて。一般層すら細分化されてる気がして。本当に能天気なこといいますけど、きっかけが一つ増えたら、それがいいんじゃないかというかね。それがスカートの音楽にとっていいことになればいいなあと思っています」

     (終わり)

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