【野球】楽天快進撃支える絶対的守護神、不振者続出WBC出場がプラスなわけ

 絶対的守護神という枕詞(まくらことば)が、真にふさわしくなった。楽天・松井裕樹投手(21)の進化が、今季著しい。4日現在で24試合中18試合に登板し、2勝1敗12セーブ、防御率0・47。首位を走る快進撃の立役者だ。2015年に19歳の若さでクローザーを任され、今季で3年目を迎える左腕。もはや風格すら漂い始めている。

 松井裕は、自身の今季の好調ぶりを自分なりにこう分析している。「ストレートがいいところでしょうね。相手バッターの反応を見てもボールの下をバットが通過している。前に飛ばなかったりとか。真っすぐがいいから、チェンジアップもすごく生きてきていると思う」。昨季は開幕前に左肘を痛め調整が遅れたこともあったが、今季はフィジカル的に万全ということも大きい。3月のWBC出場で調整の難しさはあったが、むしろ出場したことが心技体でプラスに転じたようだ。

 与田投手コーチは今季の左腕の好調の最大の要因のひとつに投球フォームの安定を挙げ、「体にブレがないということがまず大きい」と話す。それも、WBC出場に伴う調整が松井裕にとって吉と出たという。「早めに準備して早めに実戦に入れたので、練習と実戦の誤差を素早く感じることができたと思う。試行錯誤しながら準備だったと思うが、WBCの期間中に状態を上げていった」と、そのままシーズンに突入できたことが大きいようだ。

 そして、タフなメンタルを手に入れたことが、充実を支えている。「あんな大舞台なかなか立てないですから、野球人としてプラスになりました。確実にシーズンに生きています。緊迫した場面に、慣れない環境、慣れない球場、慣れない相手。少しのことでは動じなくなった気がします」と松井裕。マウンドでは堂々とした落ち着きを漂わせ、「菅野さんなど先輩たちを見ていて、ひとつの所作にしても、すごく余裕があった。僕もああなりたいなと思うようになりました」と、高いレベルでもまれることで一流の姿勢を身につけ、自信を深めている。

 圧巻は4月25日のロッテ戦、史上17人目の3者連続3球三振だった。高校時代から松井裕の代名詞といえば三振。今季はその長所を生かしつつ、長いシーズンでさらにフル回転していくために、球数を少なくすることもテーマに掲げている。その意味でも左腕の理想とするかたちを体現していた。充実する今季の松井裕を象徴する試合のひとつだったように思う。

 昨季までの2年間で33セーブ、30セーブとキャリアを積み重ねてきた左腕が、今季の目標に掲げる数字は「40セーブ」。優勝へのひとつの目安ともいえる数字であり、もちろんそれを意識している。今季その数字をクリアすれば、22歳シーズンにして通算100セーブに到達することになる。この大台が実現するとき、楽天に4年ぶりの歓喜が訪れる可能性がグッと大きくなる。(デイリースポーツ・福岡香奈)

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