【野球】伝統の一戦、旬な男G小林と虎・片岡コーチの同門対決に注目
数々のドラマを生み、日本中の野球ファンを魅了し続ける「伝統の一戦」。今年も7日の阪神-巨人(甲子園)から、歴史のページがめくられる。その中で、記者が注目するのは同志社大野球部出身の“同門対決”。攻撃陣を束ねる阪神・片岡篤史打撃コーチ(47)と、G投手陣をけん引する巨人・小林誠司捕手(27)の2人だ。
実は昨年12月、一足早く2人の“前哨戦”が行われていた。京都市内の高級ホテルで開催された同志社大野球部の「創部125周年記念祝賀会」。両者に加え野球評論家・宮本慎也氏(46)、楽天・平石洋介2軍監督(36)、五輪3度出場の日本生命・杉浦正則氏(48)の同校OB5人が壇上に上がり、トークショーを展開。すると、自然な成り行きの中で「阪神-巨人」の話がテーマに挙がった。
だが、トークの大半は片岡コーチから小林への愛情あふれる激励の言葉。宿敵の捕手であることに変わりないが、かわいい母校の後輩でもある。だから、あえて言う。それは、プロとして生き抜いていくために大切にしたい心得の数々だった。
「男前ですからね。顔も野球もリードも。もう少し泥臭く(笑)。少し品がありすぎるんでね。相手にいやがられるような選手に、小林君がそういう風な選手になれば巨人は強くなっていくと思いますね。あんまり強くなってもらうと困るんですけど…(笑)」
激熱なエールを送られた小林は「本当に泥臭く、いってやろうかなと思います」と表情を引き締めた。3カ月後、第4回WBCでの活躍は記憶に新しい。侍ジャパンの正捕手として全試合でスタメンマスクをかぶり、チームトップの打率・450と打撃でも大躍進。後輩をテレビ越しに見守っていた先輩は、笑顔で活躍を称えた。
「これをきっかけにして、チャンスをつかまなアカンよな」
昨季、巨人戦に9勝15敗1分と大きく負け越した阪神。32年ぶりの日本一を果たすためには王者・広島と同様、絶対に倒さなければいけない相手だ。G投手陣を打ち崩すには、捕手・小林との駆け引きが鍵を握る。泥臭く、献身的に侍ジャパンを支え、一回りも二回りも大きくなったかわいい後輩との戦い-。
猛虎には新戦力の糸井、絶好調の鳥谷など一振りで試合を決められる選手がそろっている。今年の「伝統の一戦」は、例年以上に盛り上がりそうだ。(デイリースポーツ・中野雄太)