【競馬】地方競馬活況の理由 JRA電投システム利用だけでない“企業努力”

 今週は、ダートG1のフェブラリーSが行われる。99年に岩手競馬のメイセイオペラが、地方所属馬で初めて中央のG1を制覇。当時高校生だった私は、胸を熱くしたのを覚えている。あれからもう18年。以降も地方馬の参戦はあるが、02年トーシンブリザード、11年フリオーソの2着が最高で、中央の高い壁に阻まれ続けている。

 かつて、地方馬のオグリキャップは、中央に移籍してG1・4勝と一時代を築いた。人は時に、“たたき上げ”が“エリート”を打ち破るジャイアントキリングに心を動かされる。ただ、最近の競馬界は、そんな機会も少なくなった。中央競馬と地方競馬の能力格差は、年々広がっているという声も耳にする。一方で、だから地方競馬が衰退の一途をたどっているかというと、それは別の話のようだ。

 2月7日に行われた佐賀記念でロンドンタウン(牡4歳、栗東・牧田和弥厩舎)が快勝。騎乗した川田将雅騎手(31)=栗東・フリー=は「平日の売り上げとしてはレコードだったみたいですね。そうやってお客さんが楽しんでくれたらうれしいですよね」と出身地でもある佐賀競馬の活況を喜んでいた。当日の売得金は、従来の記録を約1億6000万円も更新する5億4833万700円だった。

 このケースが特例ではなく、近年、地方競馬は経営的に持ち直している。昨年の全国の地方競馬の総売得金は、約4772億円で前年比114・4%。一昨年も前年比増を記録。そこには、中央競馬の電話投票システムが利用できるようになったことや、勝馬投票券の販売業務などを民間に委託できるようになったことによるインターネット投票の拡充が大きく貢献している。

 一方、各地方競馬場の“企業努力”も見逃せない。薄暮やナイター開催、地方競馬場やその場外馬券発売所で中央競馬の馬券を発売するJ-PLACEの存在、独自の企画やイベント…。中でも特に薄暮やナイター開催はネット投票との親和性も高く、競馬ファンが気楽に参加できる仕事終わりのお楽しみとして定着している。00年代から続いた各地方競馬の廃止を思えば、信じられない現象と言える。

 個人的には、高知競馬の「一発逆転ファイナルレース」が面白いと思っている。記者選抜で苦戦続きの馬を集めて行うレースで、正直、全馬の近走の着順が芳しくないので当てるのが難しい。だからこそ、予想のしがいもある。3連単の控除率も低く、比較的オッズも割れるため、当てれば一発逆転も可能。こういう創意工夫が、売上げに直結するのは素晴らしいことだ。

 川田騎手は「経営状態が良くなれば、関係する方々の生活も上向いて、やりがいも出てくると思います」とも語っていた。売得金の向上は、そうした待遇面に加え、レースの賞金増や調教施設などのハード面の充実など、強い競走馬の育成のための“積極的な投資”に充てることもできるだろう。こうした積み重ねが、中央の大舞台に挑戦するようなサラブレッド作りにもつながっていく気がする。

 幸いにも、私は日常的に競馬を取材できる身。中央所属馬と地方馬の差が、並大抵の努力で埋めることができないことも理解している。ただ、両者を隔てる壁が厚いからこそ、超えた先にある感動が大きいことは、18年前に一人のファンとして味わった。あの衝撃を再びと期待しているのは、決して私だけではないはずだ。(デイリースポーツ・大西修平)

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