【野球】岩崎は“虎の内田篤人”になれるのか 「コンバート」を飛躍のキッカケに

 年明け早々の1月2日。今季からセットアッパーを目指す阪神・岩崎優投手(25)は、静岡市の母校・清水東高校のグラウンドで自主トレを行っていた。当日、思い出の場所は同校サッカー部の恒例行事「初蹴り」で大盛り上がり。キャッチボールに汗を流す左腕の横で、伝統のサックスブルーが揺れていた。

 岩崎にとって、汗と涙がにじむ青春時代を象徴するような場所。それは全国高校サッカー選手権で1度(準優勝3回)、高校総体では4度の全国優勝を誇る名門サッカー部も同じだった。OBには松本山雅・反町康治監督(52)や、沖縄SV・高原直泰(37)などサッカー界を代表する偉大な先輩が多数。競技は違えど、通じ合っている部分も多々ある。

 両部活は縦、横で約95メートルのグラウンドを半分で区切り、互いに助け合いながら限られたスペースで練習に励む。一方が試合を行う時などは、臨機応変にもう一方が場所を空ける。決して恵まれているとはいえない環境の中で、日本一を目指して鍛錬に明け暮れる。校舎の中でも心を通わす野球部とサッカー部は、「清水東」の名を背負って戦ったかけがえのない大切な仲間だ。

 また同校の体育の授業で、サッカーは“必修科目”。生徒全員が学校近くのスポーツ用品店でスパイクとソックスを買い、サッカー部から直接指導を受けながらボールを蹴るのは同校ならでは。岩崎も同じように青春時代を駆け抜けた。プロとなった今、スポーツ界の第一線で戦っている大先輩らと同じように、日本最高峰の舞台で左腕を振っている。

 この日、母校には全国に名をはせるサッカー部OBが続々と現れた。女優・長澤まさみの父で、ジュビロ磐田の初代監督である長澤和明氏(58)。「清水東三羽がらす」の一人、元清水エスパルスの監督・大榎克己氏(51)からは「プロの世界で長くやっていくには探求心や好奇心が大切。『うまくなりたい』という気持ちが大事なんだと思います」と熱いエールを送られた。

 以前、同じく三羽がらすの一人でガンバ大阪の長谷川健太監督(51)からは「生きていくためには何か武器がないといけない。個性を磨くことが大事」と金言を授けられている。低学年の時、攻撃的MFとして決して目立つ存在ではなかったという同校OBのシャルケ・内田篤人(28)は、高3春に右サイドバックにコンバートされてから花が開いた。岩崎も、中継ぎという新たなポジションを飛躍のきっかけにしたい。

 左腕は「今年は普通にいけば投げる試合が多くなりますし、見てもらえることも多くなると思います。たくさん見て応援してもらえるように頑張っていきたいですね」と決意を込める。「清水東」の名を、プロ野球選手として全国に広めたい。同校OBで元大洋の山下大輔氏(64)は、偉大な先輩の一人だ。伝統を胸に刻み、新境地へまい進していく。(デイリースポーツ・中野雄太)

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