【野球】清宮だけじゃない!超大型の左スラッガー3人衆

 この秋、高校球界の東京の空は、じつに華やかだった。というのも、超大型の左のスラッガーが、3人もそろったからだ。

 今、2年生の学年は、早実の清宮幸太郎ばかりが注目を集めてきたが、未来のスター候補生は清宮だけではなかった。清宮を除く残りの2人とは、日大三の金成麗生(かなり・れお)と、履正社の安田尚憲(ひさのり)である。両者ともに、この秋、早実と対戦し、直接、清宮と鎬(しのぎ)を削った。

 まずは、秋季東京大会の決勝で、早実と日大三がぶつかった。この試合で、清宮は5三振と大ブレーキだったが、金成は五回に同点3ランを放つなど、4安打で5打点を叩き出す。チームは6-8で敗れたものの、その存在感を十分に見せつけた。

 金成は、何よりもまずそのスケール感が圧倒的だった。グラウンドにいると、否応なしに金成に目がいく。大学までアメフットをやっていたというアメリカ人の父を持ち、身長は193センチで、体重は101キロ。背筋を測ったとき、計測器の最大300キロの目盛りを振り切ったそうで、「背筋は300キロ以上です」と笑う。

 そして、神宮大会の決勝では、西を代表する強豪・履正社の安田が、清宮と共演した。初回、清宮が右中間へソロホームランを放り込むと、三回、今度は安田が右中間に3ランをお返し。

 試合後、安田は言った。「意識しないようにと思っていたんですけど、(清宮のホームランを)見た瞬間、燃えるものがあって」。清宮が安田を「体も大きいですし、存在感がある」と評したように、安田も身長188センチ、93キロの堂々たる体躯だ。3人の中では、もっとも知名度の高い清宮が、身長184センチ(体重98キロ)と、いちばん小さい。

 近年、高校球界では、「ビッグ3」という言い方が流行っているが、その称号を得るのはほとんどが投手だ。野手だけで、しかも左のスラッガーだけで、それこそ「ビッグ3」と呼んでもいいだけの逸材がそろうことは滅多にない。

 トーナメント方式を採用する高校野球では確実性を重視するあまり、どうしても、こじんまりとした打者ばかりになりがちだ。しかし、3選手が所属するチームは、どこもスケールの大きな育て方をする。それも幸いだった。

 また、清宮の存在が他の2人の力を引き出してもいる。金成が「同級生には負けらんないと思っていた」と言えば、安田も「レベルは清宮の方が上。この冬、自分が成長するためのモチベーションにしたい」と、清宮へのライバル心を隠さない。

 来春の選抜大会は、東京大会優勝の早実と、近畿大会優勝の履正社は、ほぼ当確と見られている。東京2位の日大三は微妙な状況だが、せっかくなら日大三も出場し、3選手が互いに刺激し合い、複数のホームランが飛び交うような、春の甲子園では滅多にない派手な大会となることを期待したいものだ。(ノンフィクションライター・中村 計)

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