日本文理大の弘中が“史上初”の先発1球敗戦投手に

 「明治神宮野球大会大学の部・1回戦、東海大北海道3-2日本文理大」(12日、神宮球場)

 日本文理大の先発マウンドを任された弘中裕太投手(3年・光)が、1球で敗戦投手になった。プレーボール直後に初球を中前へ痛烈にはじき返され、指揮官から交代を告げられた。その後、その走者が生還したため、敗戦投手になった。

 スタンドからざわめきが起こった。無死一塁となった直後、弘中がベンチへ下がり、チームメートとハイタッチを交わした。投じたボールはたった1球。故障などアクシデントがあったわけでもなく「(1球交代は)今までも結構、あったので。打たれたら、走者を出したら交代。後ろにいい投手がいるので、思い切っていった」と弘中は明かす。

 プレーボールと同時に投じた140キロのストレート。相手の竹中悟内野手(4年・沼南)にはじき返された。打球は弘中の顔面スレスレを通過し、センター前へ。「もしかしたら捕れていたかもしれない打球」と振り返ったが、「悔いはないです。手を抜いてストライクを取りに行った球を打たれたら悔いが残りますけど、140キロ出たんで」とすがすがしい表情を浮かべる。

 その後、出塁を許した走者が生還。これが決勝点となり、敗戦投手になってしまった。「負け投手になるのは知ってます。自分が出した走者なので」と弘中。先発を告げられたのは1週間前だった。調子が上がり、中村監督は「うちの投手陣で一番、球が速い。一番最初に流れを取りたかった。私のやり方では普通」。立ち上がりに速球派右腕を起用することで、相手打線を面食らわすことが目的だった。

 1年春の大学選手権予選で先発マウンドを踏んで以来、2年ぶりに経験した公式戦の真っさらなマウンド。「ケガもあったので」と肩肘に故障を抱え、その間は思うような成績を残せなかった。今大会後に病院で診察を受ける予定になっており、「来年も野球を続けるかどうかは決めていません」と言う。

 もし断念すれば、大学生活最後のマウンドが1球敗戦になる。「誇れはしないですけど…」と苦笑いを浮かべた右腕は「最初の1球で試合の流れは決まってしまう。1球目の入り方を気をつければ、自分みたいにはならないと思います」とチームメートへのアドバイスを残した。

 なおプロ野球でも1球で敗戦投手になるケースはこれまであったが、いずれも救援投手。先発投手の1球敗戦は過去にない。

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