【野球】広島石井コーチ、素振りで改革

 広島で打撃改革が始まっている。1日から宮崎県・日南市の天福球場で始まった秋季キャンプで、新たに打撃コーチに就任した石井琢朗コーチが、さまざまなアイデアを持ち込んだ。今季は勝負どころであと1本が出ず、3年ぶりにBクラスに沈んだ。1日からの21日間で、目標は最大2万スイング。勝負強さを身に付けて、来季の巻き返しを図る。

 「1日、800~1000本は振ってもらう。目標は2万本。振る力プラスαで脱力した中でのスイングを身に付けてほしい」と石井コーチは力を込めた。打撃技術向上のため、同コーチが最も重要視しているのが素振りだ。早出練習では、球場のフェンスに沿って歩きながら素振り。バットを上から出す意識を徹底し、200スイングするのが日課。さらに午後6時前後からの夜間練習でも素振り。日が完全に落ち静寂に包まれる中、バットが空を切る音だけが天福球場に響き渡る。

 最もシンプルな素振り。なぜ、これほどまで力を入れるのだろうか。「とにかくフォームを確認するには基本が一番。ボールを打つと、それに合わせてしまうから。それに素振りが一番きつい。空気を打てば、力を抜いていることがすぐにわかるから。素手で振って感覚を養うことも大事。手袋をしているとグリップするから楽。素手はしっかり握らないと滑るし握力がいる」。歴代11位の2432安打を放った石井コーチ。自身も基本の素振りでフォームを固めてきた。その重要性を若鯉に伝え、成長へとつなげる構えだ。

 グラウンド外でも石井コーチの指導は続く。キャンプ休日などを利用し選手宿舎で“石井塾”を開講。打席に入る前の心構えなどが説かれている。

 4年目を終え、1軍出場がない土生は「例えばバッテリーでどちらが投げる球を決めているのかを聞かれた。投手が新人で捕手がベテランのときは?その反対で投手がベテランで捕手がキャリアが浅かったときは?ホワイトボードに空欄があって、そこに選手が答えを書く。打つために、どうすれば確率が上がるのか。本当に勉強になる」と言った。

 バッテリーと駆け引きしながら安打を打たなければならない。心の読み合いも重要。文字にし書き記すことで考え方を明確にし、打席の中で頭の中を整理しやすくするのが狙いだ。

 「キャンプは基本を反復練習しながら実戦で対応力を磨く場所。反復することでたたき込まれて強い選手になる。精神的にもつらいが鍛えられるし、ここ一番というときに腹をくくれることにつながってくる」と石井コーチ。今季、1点差試合は21勝24敗。延長戦は4勝9敗3分けであと1本に泣いた。石井流改革の先に来季、“実りの秋”が待っているに違いない。

(デイリースポーツ・市尻達拡)

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