大阪桐蔭 西谷監督不在経ても強い理由

 今夏の大阪大会初戦に続き、来春センバツの重要な参考資料となる秋季大阪大会準決勝でも履正社を撃破した大阪桐蔭。西谷浩一監督(46)がU-18日本代表の指揮を執るために8月下旬から2週間、チームを離れた。それでも最大のライバルに勝ちきった強さの秘けつとは-。指揮官はこう明かす。

 「野球ノートに何人かが書いていたんですが、前回、U-18でチームを離れたときは履正社にコールド負けを喫した。今回こそは勝ちたいと選手も言ってくれた」。

 2013年に台湾で行われたU-18ワールドカップでも指揮を執った西谷監督。その時は息つく間もなくチームに戻ったが、秋季大会4回戦で履正社にコールド負けを喫した。センバツ出場が絶望となったが、現在の2年生はまだ入学前。それでも意識の中で強く残っていたようだ。

 だからこそ指揮官不在でも緊張感が緩むことはなかった。西谷監督も9月7日に行われた日本代表の解団式後、すぐさまチームの練習に合流。「どうかなというのはあったけど、自分が戻ってきたときは雰囲気も良かった。いない方が良かったのかなと(笑)。戻ってきてもう一段、上げることもできた」と指揮官は明かした。

 秋季大会が始まってからは強さを発揮。準々決勝まで圧倒的な力でコールド勝ちし、汎愛戦では攻撃の流れが良くない中、強固なディフェンスと精神力で相手に主導権を渡さなかった。

 そして履正社戦。「まだ新チームは未完成の部分が多い中で、経験者が力を発揮しないといけない」と一つ上の世代からレギュラーだった中山、永広、吉沢の3連打で来年のドラフト1位候補左腕・寺島を攻略し試合をひっくり返した。2年連続のセンバツ出場を目指し近畿大会出場を決めたが、指揮官が試合後、真っ先にやったことはチームを引き締めることだった。

 スタンドへの挨拶後、ベンチ前に全選手を集め「これで終わりじゃないよ。しっかりと来週の決勝戦を戦おう」と円陣で訴えかけた指揮官。選手たちも表情を崩すことなく、力強くうなずいた。

 大阪桐蔭がここ10年で春夏4度の全国制覇を成し遂げた要因-。トランポリンを使った打撃練習など圧倒的な練習量、スカウティングや野球に集中できる環境などがあげられてきた。それ以上に今回の一戦で実感したのが“組織力”。チームを戦う集団へと変え、選手をベストのポジションで起用する。戦術、戦略をチーム一丸となって遂行する。そんな西谷監督のチームマネジメント力は、U-18日本代表を見ていても際立っていた。

 最大3年で選手が入れ替わる高校野球において、なかなか強さを維持するのは難しい。それでも毎年のように甲子園を沸かせ、上位に進出してくる新時代の王者。選手と指導者が一体となって相手にぶつかっていける強さは、何事にも代え難い。(デイリースポーツ・重松健三)

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